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世界経済入門 第三版 (岩波新書)

価格: ¥840
カテゴリ: 新書
ブランド: 岩波書店
Amazon.co.jpで確認
少し期待はずれ ★★★☆☆
確かに知識人の間で有名なことだけあって、高く評価できる点がいくつかある。

まず入門書であるゆえ、砂漠化から都市問題まで非常に広い範囲にわたって世界の現状が紹介されている。「これも世界経済の一つの要素と言えるのか」と疑問に思うことも多かったが、「経済入門」だけでなく社会学・環境学も勉強できると思えば苦にならない。また、表やグラフが頻繁に使われているため筆者の論理に説得力がある。そして、重要なキーワードについて詳しく補足説明しているところもいい。

ではまだ読んでいない人に勧められるか。はっきりとイエスとはいえない。

一つの問題はあまりに多くの課題を扱っていることだ。個々の説明が短すぎて表面的で、呼んでいるときは理解できても全く頭の中に残らないことだ。私のようにノートを取るならば情報を処理できるが、普通に読んでもあまり役に立たないと思う。肝心のEU拡大やブレトンウッズ体制について少ししか触れていないところも残念だった。

グラフと表に関しては、専門的で数字の意味が分からないようなものが目立った。

もう一つ指摘したいことがある。筆者の倫理観・思想みたいなものが時々不正確な結論といった形で表れている。南北格差の拡大は先進国が自国の利益のために国際援助を行ってきた証拠(184ページ)だという論理はどう考えても納得できない(国際援助以外に様々な要因があるだろう)。

まあ、読みたい人は読んで損はないと思うが、予備知識がない人にはあまり優れた入門書ではない。というより、途中で寝てしまう恐れがある。
良書です。 ★★★★★
 現代の世界経済の動向を把握する上で重要な事柄が凝縮された一冊です。特に感心したのは、経済や社会にとって重要な指標(投資額、人口、資源など)の変化を数年単位で区切られたデータを比較するこで説明している事です。それら数値の劇的変化を知ることで、世界経済が不安定かつ複雑に変化していることを実感します。また、単に経済のみならず社会についても多く述べられており、今日のグローバル経済は社会と切り離して考えることが出来ない事を教えてくれます。日頃、経済について考える時、還元主義的に思考対象が狭くなりがちでしたが、現代経済を考える上では、世界経済という広い視野で考えることが重要であると気づかされました。著者の広く深い考えが多く述べられている優れた入門書だと思います。
かつて北朝鮮を礼賛していた著者の「世界経済入門」とは? ★☆☆☆☆
 著者の西川潤氏は、かつて岩波「世界」誌上において北朝鮮を「きわめてユニークな経済発展を遂げている国」と絶賛していた、典型的な親北朝鮮の進歩的文化人です。これは決して若い時の至らなさによるものではありません。西川氏はこの件で全然反省も謝罪もしていません。それどころか、西川氏は最近まで社民党の土井たか子とともに北朝鮮への食糧支援運動をやっていました。「土井たか子 西川潤」で検索してみてください。興味深いサイトがたくさん出てきます。何と金日成とも接見したことがあったのですね。
 そういう人が「世界経済入門」なる本を出す理由が全く理解できません。北朝鮮のような経済発展がお手本だというわけですか?
すばらしい本です。 ★★★★★
この本は,何の変哲も無いタイトルに似合わず,経済学についての知識を得ながら,同時に世界経済についての視点を学ぶこともできる本です。
3部,11章構成ですが,各部,各章ごとに内容がよくまとめられており,さらに全体としても一貫した流れがしっかり存在し,最初から最後まで本当によく練られています。
自分は工業に関わる人間ですが,エントロピー増大の法則を用いて解説された箇所があったのも面白かったです。
この本は,日本人皆に読んで欲しいと思います。僕は世界を見る目が,この一冊で一気にひらけました。
相変わらずの名著…。でも超人度ダウン? ★★★★★
有名経済学者西川潤の名著『世界経済入門』が13年ぶりに改訂され、第3版が出されたと知り、大急ぎで買い求めました。
全体の流れは第2版と同じですが、内容は完全に一新されました。
前回の版でEC、GATTだったものがEU,WTOとなっているのはもちろんのこと、環境に与える経済の影響などを

考慮して「エントロピー」の概念を導入するなど、新たな独自性があります。

まず、第一章では「経済と意識のグローバル化」という新事態に対応して、WTOなどによる貿易自由化や人権意識の拡大
などにも対応する地球市民意識の拡大、地域協力の進展など、世界経済の90年代以降の変化と特徴について

述べています。特に、多国籍企業についての分析が詳しく、また、著者の専門とする南北問題、南南問題などを
念頭に置いた上で書かれていると思います。第二版の70年代後半から80年代の分析同様、図表なども多く提示しながら
丁寧にわかりやすく説明してくれていて珠玉の出来です。

第二章では現代の世界経済における問題として人口・エネルギー・環境の問題を扱っています。おそらく、これらの問題
に関しては詳しい方も多いと思われるので、さほど新しい情報はないかもしれませんが、
やはり多くの資料を掲載し、経済格差の問題を念頭に置きつつ、概観してくれています。

ここで熱力学第二法則の概念を導入したのはわかりやすかったと思います。

第三章は第二版と違い、南北問題・地域協力について詳しく述べ、最後に日本の10数年を振り返り、簡単に
これからの展望を述べるに留まっています。第二版では、軍事と経済の関連を大胆に分析し、ほぼ現在の経済状況を

ピタリと当てる素晴らしいパターン分析的な将来予測をしていて期待していただけにこの章はちょっと残念でした。

また、残念というわけではありませんが、意外にここ10数年の大きな変化であるテロリズムや地域紛争などの
問題には多くは触れてありませんでした。

相変わらず読み応えのある名著ですが、最後は前の版が超人的だった分トーンダウンしたかな、という印象でした。
もちろん当然のごとくの名著ですが、第二版が★6つ、第三版は★5つ、という感じです。