チクンさんは、呉清源や本因坊秀栄といった人たちに学んできた。この二人、黒番の優位・白番劣勢という古来の常識を破るため、方向性という考え方を強く意識していた。現在呉清源先生が提案されている『21世紀の碁』 も、方向性が重視されている。 この本は平均的なアマチュア向けの内容だが、「チクン流は地取りの碁」 という思い込みが変わった。彼の強さもまた方向性にあり、呉先生や秀栄名人の精神がこんな風にわかるのは楽しい。この本がシリーズ化されて、チクンさんの解説がまた聞きたい。