QED的な日本史史観は、当初は「屁理屈」と受け取られかねないものだった。それだけ独特だったのである。しかし、膨大な史料と独自の視点を駆使した説得力に圧倒されて、まさしく「隠されてきた日本史の真実」と徐々に読者に認識されるようになった。
今年の竹取伝説であるが、やや低調に感じられた。これは逆説的な意味があり、桑原たたる氏的な史観が浸透したからこそ陳腐化してしまったという皮肉な結果である。「東照宮」や「ベーカー街」のように時代や国をずらせばまだまだ面白いものになっただろうが、何度か取りあげられた平安時代では、驚きが薄くなるもやむを得ない。
ミステリ部分も今回はややとってつけた風に感じられるが、さて、ほかの方のご意見はどうだろう?