私は吉田氏のワークショップに２度ほど参加した経験があるが、
本書は彼女の発案した30のワークをまったくの個人で、
しかもどのページからでも取りかかることができる利便性をもっている。

各ワークは彼女の丁寧で、細やかな言語による支えがあり、
ワークの解説やステップアップは、
個人ではとかく行き詰まりがちになる試みに、広がりをもたせている。

わが国の臨床心理士によるアートセラピーは、
精神科医の指示による心理テスト的なものが多いのだが、
美大出身で米国で新しいアートセラピーを学んだ彼女のワークは、
より豊かな表現療法を紹介している。

本書はアートセラピーに興味を持つクライアントの立場の人はもとより、
臨床心理に携わっている専門家の人にもぜひ一読いただきたい書物である。