最高のベーシスト、チャーリー・ヘイデンが本作で取り組んでいるのは、キューバやメキシコ生まれのボレロの名曲だ。ピアニストのゴンサロ・ルバルカバとパーカッショニストのイグナシオ・ベローアというキューバ出身のチームとトリオを組み、きら星のごときゲストたちを迎えてプレイしている。ヘイデンは1986年のハバナ・ジャズ・プラザ・フェスティバルでルバルカバと初めて出会い、以来たびたび共演を果たしている。
ヘイデンが称賛される理由は、そのうっとりするようなプロダクションワークにあるにちがいない。美しい整然としたテンポを常に崩さずに、滑らかな洗練された音があふれ出るみずみずしいサウンドを生みだしてきたのだ。本作では、ヘイデンのベースが低音の驚くべきヴァイブレーションを引き出し、何曲かではベローアが、ささやくように微妙なミリタリースネアのシャッフルを加えながら、おだやかなボンゴの細かな音を周囲に添えている。ルバルカバのもっぱらの関心は、つむぎだす音を果てしなく漂わせ、追い求めるメロディアスな旋律を常に完璧にリラックスさせることだ。
「Night of Wandering」ではパット・メセニーがアコースティックギターを、言わずと知れたメキシカン・スタイルに負けないくらい、ジャンゴ・ラインハルトを彷彿(ほうふつ)とさせるとがったストロークを用いてかき鳴らしている。ジョー・ロヴァーノあるいはダヴィッド・サンチェスを迎えた6曲は、やわらかなテナーサックスによって官能的に磨き上げられている。さらにヴァイオリニストのフェデリコ・ブリトス・ルイスは、心揺さぶるヴァイオリンの腕前を3曲に提供している。ヘイデンはまた、自作のオリジナル曲2曲も披露していて、その中の「Nightfall」のベース・ソロでは一音一音に味つけをして味覚を潤してくれる。本作は桁外れのアルバムで、今聴ける中で最もくつろいだセッションのひとつに数えられるのはまちがいない。味気なさとはまったく無縁の1枚だ。(Martin Longley, Amazon.co.uk)
すべてを包み込む都会の夜の魅力と魔力を表現した傑作
★★★★★
00年8月マイアミ録音。ラテン風味を加えた、静かな都会の夜の、すべてを包み込んでくれるジャズの魅力と魔力にあふれた大傑作盤。タイトルはノクターンだが、これは誘惑に満ちた都会の夜にふさわしい夜想曲集と評することができるだろう。都会の酒場でギャング映画のスターが楽しむような大人のジャズ。喧騒さは皆無で、やさしい調べが夜の闇の奥へと誘う。
チャーリーのベースを中心に、ドラムのイグナシオ・ベローアが刻む中南米音楽のリズムとゴンサロの饒舌ではない優しいピアノを核にして、そこにダヴィッド・サンチェスとジョー・ロヴァーノのサックス、パット・メセニーのギター、フェデリコ・ブリト・ルイスのヴァイオリンが加わり、たならなくノスタルジーをかきたてる。まさに珠玉の1枚。
kokoroが落ち着く
★★★★★
ヘイデン氏によるキューバン・サウンド集。とにかく癒されるし、落ち着く。ピアノトリオでもいい作品に成り得ただろう。いつになく寡黙なルバルカバのピアノが素晴らしい。ラバーノやサンチェスのサックスもいいところで泣いているが、特筆すべきはフェデリコのバイオリンが隠し味で否応なく哀愁をかきたてる。深まる秋にこの官能的なサウンドはぴったりだ。どの曲も甲乙つけがたいが、好みでいえば、Three Words が一番胸に沁みる。決して聞き飽きることのない名盤誕生である。
哀愁ある美しいサウンドが楽しめます
★★★★★
こちらも世界最高峰のベーシストの1人であるチャーリーヘイデンが、キューバ出身のピアニストであるゴンサロルバルカバと組んで作ったキューバンバラード(ボレロ)アルバムです。
キューバンバラード(ボレロ)といわれても、よくわからないのですが、日本人の琴線をくすぐる哀愁に満ちた美しく、物悲しいジャズサウンドになっています。
その一翼をになっているのが、tr2で参加しているgのパットメセニーももちろんなのですが、それ以上の大活躍をしているのが、vlnのフェデリコブルトルイスと、tsの2名。このアルバムの特徴である美しい物悲しさを倍加させているのが、このメンツたちのプレイといっても過言ではないと思います。
もちろん、ゴンサロのp、ヘイデンのbも、静謐で美しいプレイを聞かせてくれます。落着いた、癒しの音楽をお探しの方にも、ピッタリの素晴らしいアルバムです。
名曲 名演奏 好録音
★★★★☆
このCDはメキシコとキューバの歌曲を原曲のメロディーを大事にして演奏したものの他にヘイデンの自作曲を若干加えた構成になっています。例えればコルトレーンの「バラード」と同じような発想のプロデュースだと思います。
パッとメセニーは #2 一曲のみの参加。アコースティックギターです。
Armand Manzaneroの曲「El Ciego・ The Blind」をバイオリンをフィーチャーして奏でた#8は物悲しいメロディで感傷的な気分に満たされ心をも打たれます。日本とキューバ、メキシコというかけ離れた土地の人間が音楽に対して似通った好みや心情をいだいている事が感じられ不思議な想いに駆られます。
自分がじっと座ってこういう音楽を楽しむ事ができるようになるとは若い時には考えられませんでした。歳をとるのも悪くないですね。
録音が良いというか楽器の音色がすばらしいので、オーディオ機器に趣味のある人が機械を試すのにもいいのではないでしょうか。
過去5年でナンバーワン
★★★★★
僕は過去5年間に大好きな不動の一枚がありましたが、あっさり抜いてナンバーワンです。
本当に素晴らしいです。カスタマーレビューを読んでイメージした以上の音が溢れて来ます。
レビューを丁寧に書いてくれた皆さんに心から感謝します。