ばななはうまい!
★★★★☆
面白かったです。ついつい全部読んでしまいました。
主人公が全部同性同世代(20代半ばの独身女性)の短編集。
「ああ、いまどきの若い娘はこんなふうなのか。」と、リアルに感じ、ほっとしたり、はあっとしたり、楽しめました。
「オンナ」(、といっても、あくまで、あるタイプの、でしょうが、)というものを理解するのに、最適な小説だという気がします(、それは、「オトコ」というものを理解するのに、重松清が最適だ、というのと同じくらい、私にはそんな気がするのですが)。
著者の短編集
★★★★★
本書は、みどりのゆび/ボート/西日/黒いあげは/田所さん/小さな魚/ミイラ/
明るい夕方/本心/花と嵐と/おやじの味/サウンド・オブ・サイレンス/いいかげん
の13編を集めた短編集である。
どの短編も、読み出して登場人物の様子を掴むまでは時間がかかるが、著者の
繊細な描写によって、その姿が浮かんでくると、スーッと話の中に引き込まれていく。
あとは、著者の温かく柔らかい女性的な描写が心地よく感じる。
13編のうち10編はこの本のために書き下ろした作品であり、あとがきで著者も
述べているように、「体と本能に任せておけば、さほど間違えることはない」
との思いで書かれた作品である。
それが本書のタイトルにもなった所以なのだろう。
個人的には「田所さん」、読んでいて温かく切ない気持ちになってしまいました。
五感が研ぎ澄まされる
★★★★★
短編として散文的にさらっと書かれている。
でも読んでいるうちに、心の奥底まですうっとメスが入ってくる、そんな印象を受けた。
清清しく感じる意味での「癒し」とは異なる。
テーマは、どちらかといえば人間の陰の部分。中にはエグい描写もある。
第三者的に読むのだが、五感の本質部分で共感している自分がある。
月並みな表現だけど、日常で無意識のうちに忘れている感覚を呼び起こしてくれる作品。
押し付けがましくない寓話としても受け取ることができる。
からだが語る物語。
★★★☆☆
幼い頃別れた母との思い出や、亡くなっていく祖母の言葉、
新しい恋の目覚め、親との死別、監禁、不倫、ミイラ、、、
ちょっぴり不思議でせつなく、
からだが、本能が、教えてくれる、そんな物語。
彼女の作品は、さらさらと流れていって痕を残さない感じ。
指の間から砂がこぼれ落ちていって
微かな感触だけが残っている、そんなイメージです。
巻末の本人の解説で彼女は自身の過去について語っています。
身体が弱く、内省的な少女だったという。
そんな彼女だからこそ見えてくる、自分と身体の関係。
それを物語にしたのかもしれません。
まとまった短編集
★★★★☆
本当に短い、短編と名付けるのにふさわしい量の
作品がずらりと並んだ短編集です。
短編集のタイトル
「体は全部知っている」
同じ名称の作品は掲載されていません。
はてどういったことだべ?と
丁寧に一気に読んでみました。
抱きしめられるとか、食べるとか、触れるとか
体を通じて、記憶や印象を呼び覚ます物語が描かれていました。
短い文章なので、必要最小限の言葉が凝縮されているので
確信的かどうかはわからないけれど
行間を読み取って適当に想像する楽しみ方ができます。
また
基本的に一山を越えれば物語が終わってしまうので
その点で物足りなさというか、欲求不満も出てきます。
特に心をひいたのが夕日にまつわる描写について。
ほとんどの編にでてくるので殊更に印象に残りました。
もしかしたら裏テーマでは?と想像。