評論家でフェラーリを悪く書き散らかす人は皆無に近い。それは、フェラーリが一種の「権威」になってしまっているからであろう。
そこから逃れる術はひとつしかない。それは「フェラーリ側の立場に立ってしまう」ことだ。身内のことなら、いくら権威のある対象でも、客観的発言に周囲からの問題は発生しないからだ。
著者の清水氏は言わずと知れた「熱狂的フェラーリ信奉者」だが、彼のあまりに強い崇拝が、フェラーリ側に立つことと同じ機能を果たさせたのである。
その視点によりもたらされた「客観的な目線」が本書の白眉なのである。換言すれば、世間に数少ない、褒めちぎるだけではない「客観的なフェラーリ評論本」が本書だと言えよう。
いささか古い本!になりつつあるが、今でも充分新鮮である。興味のある方は早く買うに値する一冊である。ご一読あれ!!!