シベリウスに捧げられた本
★★★★☆
一般に「堅物」として敬遠されがちなクラシック音楽の魅力について
吉松氏は丁寧にかつ情熱的に語っています。
本書はクラシック音楽の交響曲に焦点を当て、
「難解」に思われる交響曲の形式、用語そして歴史など
噛み砕いて説明しており、消化しやすくなっています。
ただ残念なのは、推薦図書のページがなかったことです。
確かに本書を読むことで、クラシック音楽(ここでは交響曲)が身近な存在に
なると思います。
しかし、「入門」から次の段階へ進みたいと思う人がでて来ると思いますので、
「発展」への道しるべを「忘れてしまった」のは惜しいと思います。
ところで、来年(2007年)はJ・シベリウス没後50年です。
本書を執筆された吉松氏はシベリウスを「神」と仰いでおられます。
吉松氏はこの新書をシベリウスに捧げたのだ、と私は思っています。