古き良き時代の奇譚集
★★★★★
『オペラ座の怪人』や『黄色い部屋の謎』の作者として有名な
ガストン・ルルーの短編集です。
現代のホラー小説・映画・ゲームのような、どぎついイメージの連続ではありませんが
老船長たちが互いに披露しあう奇譚・恐怖譚はまさに古酒のような深い味わいがあります。
・・・といってもテーマは復讐・飢餓・処刑などまったく容赦はありません。
それぞれの挿話にゾッとするような恐怖と平凡に暮らせることの幸せ、そして一抹の寂しさが感じられます。
もっとこういう短編を読んでみたいなあ、と感じつつ『蝋人形館』が夜明けを迎えるとき
この短編集も終わってしまいます・・・
訳にはさほどクセもなく各挿話が短いので読書が苦手な人でも抵抗なく読み進められますし
また、読書好きの人にも読み応えが感じられると思います。