いろいろの版のうち，これが正規の版である．まず，邦訳版と比べて，図の数がほぼ倍近く，神戸地震(外国ではこう正確に呼ぶ) の写真もしっかり入っている．読んで見ると，実に臨場感の強い文章で，これがフォーティ先生の実力だったと深く感動する．この本はまずタイトルが微妙で，あけすけに書けば教壇の上でなくベッドの中で説く地球史と言うほどの意味だと思う．それと，地質学がイギリスで生れた歴史的優位があるので，イギリス中心で書くと，科学史的にも術語的にも日本語では大きなハンディを始めから負ってしまう宿命に陥る．更に，特異的にアルカリが豊富な Vesuvio の玄武岩がヨーロッパでは当り前 (日本では例外にもならない) で，地球化学的立場が信じられない位に異なる．読むときは，このような立地の差に注意が必要。