1966年に発表されたサイモン&ガーファンクルの3作目のオリジナル・アルバム.「サウンド・オブ・サイレンス」の大ヒットを受けて急きょ制作されたのが前作(もちろん,それでも高い完成度は,さすが)ですが,じっくり腰を据えて制作された本作の完成度は非常に高く,また,詩やメロディからは,ポールとアートのはっきりとした自信を感じます.
「1. スカボロー・フェアー/詠唱」や「2. クラウディ」「7. 夢の中の世界」「8. 雨に負けぬ花」「10. エミリー・エミリー」「11. 地下鉄の壁の詩」と,もうサイモン&ガーファンクル以外には生み出すことなど不可能としか思えない,美しいハーモニー.そこに「4. 早く家へ帰りたい」という今やおなじみの曲と,「5. プレジャー・マシーン」や「9. 簡単で散漫な演説」というポールらしいウィットに富んだ曲を織り交ぜ,最後に,やはりポールらしいメッセージを込めた「12. 7時のニュース/きよしこの夜」で締めくくる….アルバムとしてのバランスは,彼らの残したオリジナル・アルバムの中では,もっとも優れているのではないでしょうか?