宗教の大枠理解に適したオススメ本です。
★★★★★
映画や書物などで、物語に触れると、度々、宗教や神話に関する事柄に出くわす
ことがある。
例えば、私が観て印象に残っているものの中では、映画「マトリックス」や「新世
紀エヴァンゲリオン」で使われているモチーフとしての神話、「ゴッドファーザー
PART3」で描かれたマフィアとバチカンとの暗闘、「ミリオンダラーベイビー」での
クリントイーストフッド扮するボクシングトレーナーの神への問いかけ、「シリア
ナ」で描かれる経済発展と宗教とテロとの連関・・・などなど。
これら物語上に宗教や神話が関連していることに漠然と気づくが、その本質は
理解できず、モヤモヤしたままである。時折、宗教や神話について調べようとする
が、いずれの情報ソースも断片的か、あるいは(宗教に造詣の深くない私にとっ
ては)詳細すぎて、全貌が掴めず、調べることをやめてしまうことが多々ある。
それに対して、本書は、そういった私のモヤモヤ感を、かなり取り払ってくれた。
本書に出会う前に、手にとった宗教に関する書物の大半は、観念的すぎるか、あ
るいは、いきなり細部を詳述しすぎていて、私のような入門者にはハードルが高す
ぎ、途中で読み進めることを断念するものが多かった。
しかしながら、本書は、全体像を俯瞰できるよう、大きな枠組みで、体系的に、
宗教について捉え、かつ社会の事象や歴史との関連性についても具体的でわかり
やすく述べられている。
グローバリゼーションによって、国境の垣根がなくなっていく社会情勢において、
宗教や神話、そして多様な価値観の存在とその端緒を理解しておくことは、一定
程度以上のビジネスや社会生活を営んでいくことを志す社会人としては、重要な
教養のひとつであろうと思う。
そう思う人で、宗教や神話について、まずは大局を理解しようとする際に、本書は、
最適な一冊ではなかろうか。