幅広く、分かりやすく
★★★★☆
気楽に読める哲学の入門書。一見すると分厚いが、字もそこそこ大きく図解が多い為、見た目ほどのボリュームはない。
哲学者一人当たりに割り当てられているページ数が少なく、イラストも大きく入っているためにやや急ぎ足に過ぎる印象は否めないが、各章の前にその時代の哲学の概要を説明し、時勢との関係についても触れているので、大雑把な流れが掴みやすい。筆者による「好き嫌い」が鼻につかないのも良い。
基本的には西洋哲学が中心だが、入門書ではあまり触れられることのない東洋思想や現代の哲学の傾向などにも多少のページを割いており、哲学に興味を持った人が足がかりとするのに向いている。
この手の入門書を何冊か読んでみたが、その中では幅が広く説明も難解ではないし、初心者にも分かりやすい工夫があって、「取りあえず哲学がどんなものか見てみようかな?」という人にはお奨めできる一冊ではないかと思う。