そもそも、本書の初版は基本的に学部学生を対象として書かれて
おり、分量も1冊で収まるものであった。しかし、学者としての血が
そうさせるのか、本書――即ち第2版――では学者・実務家・研究者を
対象として書かれており、質・量共にグレードアップしている
(2分冊になっている)。
その結果、従来の伝統的見解及びそれに対する批判をある程度前提
とした記述になっており、そこに筆者の見解が展開されていく。従って、
初学者が読んでも却って混乱するだけであろう。初学者はまず伝統的
見解を咀嚼した後に読むべきである。裏を返せば、ある程度学習の進んだ
者にとっては、本書は知的興奮に満たされた書物となる。
本書は、一般的に言えば、体系書
としては高価な部類に入る。しかし、果たして本当に高価だろうか?
頁をめくれば、そこには債権法の最先端がある。私は、この本の
価格は、読者によって異なると思う。読者のレベルが高ければ高い
ほど、この値段は安いはずである。