最終巻の内容は酷過ぎる
★☆☆☆☆
この仮面ライダーBlackという漫画は最初の方は面白いのだが、巻を追う内に、どんどん詰まらなくなって行く。最後の方などは突然打ち切りを通告されたために、無理やり話を終わらせたかのようで、そこに至るまでの過程も漫然としていて、くだくだしい。この仮面ライダーという作品は、原作の構図が非常に単純なため、連載漫画として話を膨らませるのが困難というのは理解できる。だからこそ著者は話の舞台を世界各地に取ったのだろう。その試みは初めの内は斬新に感じられ、多いに成功を収めている。しかし、巻を重ねれば、目新しさがなくなるのは避けられず、原作に起因する話の単調さが目立つようになる。そういった単調さから来る飽きを防ぐために、ヒーロー物では魅力的な悪役を登場させているのだが、本作にはまったくといっていいほど登場しない。魅力的な悪役を生み出せるかどうかは漫画の人気を大いに左右するが、石ノ森氏はその才能に欠けていたのだろうか。この仮面ライダーBlackという作品を振り返って見ると、少年サンデーコミックス1巻に当たる部分が白眉だったといえよう。
やはり石森章太郎は違うな!
★★★★☆
1巻の前半までは、何とも面白くないなと感じていたこの作品も
巻が進むごとに面白くなり
最終巻にて、未来と現代が交錯しつつ、終了を迎える。
結果、南光太郎自身が
悪の大首領になってしまうのか
それとも、そんな未来は訪れないのか。
サイボーグ009の頃から頻繁に石森作品に現れる
人間の中に潜む「悪」との戦いの部分を読者に放り投げて終了してしまう。
この考えさせられる余韻こそが、石森章太郎作品なのだ。
先駆者の偉業
★★★★★
ありきたりとも見えよう。
何かに似ていると嘯く者もあるだろう。
だが、それがどうした。
この漫画は充分すぎるほど面白い。
傑作と言っていい。
仮面ライダーの物語世界を、石ノ森氏は全地球のみならず時間をも越えるものとして再構築してみせた。自らが描いた物語を更に昇華させた。
この難業を讃えずして他の何を偉業とするのか。
漫画史に残したい名作の完結編。
一読の価値有り。
以下、蛇足。
時間軸の交錯をもっと描写して欲しいと望むのは軽率も甚だしい。
石ノ森氏はかつて手塚治虫氏をも嫉妬させたほどの、イメージ表現の名手である。あれこそは読み手の空想を掻き立てる手練の技なのだ。
超人などいない
★★★★★
転覆したタンカー・日本丸の上でひとり、自己存在の不確かさにおののく人間・仮面ライダー。
バブル崩壊前にこのようなマンガを描いてしまえる石ノ森章太郎はやはり偉大であった。
もっと再評価されてもいいようにおもいます。
光太郎と信彦
★★★★☆
正直に言って、作者は何を言いたかったのかよくわからない。特に、クライマックスの過去と現代と未来を行き来するあたりなんか混乱してしまってもおかしくない。それでも、この巻の最初のほうまでは結構楽しめるので読んでみてもいいだろう。