クルトたんのい
★★★★★
この作品に出会ったのは中学1年の頃ですが(1975年)、その感動が褪せることはありません。この作品を判りやすいとの理由で過小評価する評論家が相変わらず多いのにはこの35年間然程変わっていないような気がします。ジム・ホールのリーダー作ですが、ジム・ホール、ポール・デスモンド、チェット・ベイカー、ローランド・ハナと続く、まったくもって神品としか言い様のない巨匠の歌心の止めども尽きないアドリブの連続は他の作品では滅多に経験できない極上の時間が流れます。ただでさえ歌心溢れる名手達ですが、このセッションでは全員が生涯最高とも言えるインスピレーションの塊となって、延々と美しいアドリブの連続に聴く者を陶酔の世界へと導きます。ランバート、ヘンドリックス&ロスやマンハッタン・トランスファーが全編歌詞をつけて唄えるような名旋律の連続に感動を覚えます。飽きるのが勿体無くて聴かないようにしている位ですが、何度聴いても「飽きない」作品であることは間違いありません。