大学化学の初歩
★★★★☆
高校時代、例えばボーアの原子モデルで親しんだ方にとって、突然の量子論による軌道関数の出現には抵抗があるだろう。しかし、本書はその抵抗をやわらかく解してくれる。コンセプトに、「高等学校の化学の知識を前提としない」とあるように、ある程度の基礎事項は記述されているが、高校時代、全くの化学無勉状態でこの本を理解出来るのか、と問われると消化不良を起こしそうで正直微妙だ。しかし、高校時代に一通りの化学を勉強した方にとって、この本は明らかに大学化学への橋渡しとなる。もちろん、橋を渡ってからの勉強は、別途必要である。