遭難し漂着した翌日に10年先を考えて今日の計画を実行する。
★★★★★
明治31年に実際に発生したこのミッドウエイ諸島での漂着事件
このときの船長の対応が現代にも通用するすばらしい決断力と愉快に毎日暮らそうと指導するリーダーに感動しました。なんにも木の生えていない砂だけの小さな島に漂着した翌日に10年ここで生き抜くぞと10年先までみこした対応を15人に伝え、たった4項目の規律を守るように指示した。その項目のひとつがないものをほしがるな、そして最後にここで毎日を愉快に暮らそうと指示する。
つらい中に明るい生活を作ろうと考え、即実行に移し最後16人全員が助かる。
この船長らのここまで生きてきた人生の経験力をいかし即決即断しながら生きていく様は現代の経営にも通じるものであります。 感動
日本にこんな痛快な漂流記があったとは!
★★★★★
今まで漂流記はロビンソンクルーソーや15少年、などの海外のものだけだと
思っていたのだが、読んでみて面白さにびっくり。
遭難から救助まで暗いところがなく、楽しく読めました。
こんな本が今まで埋もれていたとは何ともったいない!
近い将来、ドラマなり映画なりアニメになるであろうことを確信してます!
一気読み。
★★★★★
わくわくして、次の展開が気になって、結局、肌身離さず一気読み。面白い。
明治の日本人の逞しさ
★★★☆☆
明治時代の帆船が難破して無人島に辿りついた16人が逞しく元気に生き抜く話で、これは実話だ。普通はこのような状況に陥ると落胆すると思うが、老若そろった16人の明治の男達は実に元気溌剌で、飲み水を掘り出し、食用のため亀を養殖して見事に生き抜くばかりか、時間を有意義に過ごすために航海術の勉強までするといった活躍ぶりだ。日本男児と言う言葉が無邪気に使われ、日本人であることを誇りに思っているこの時代と現代は随分離れてしまったと感慨深く感じる作品でもあった。
素晴らしい指導力と団結力が活きた漂流生活実話。
★★★★★
2009年8月15日のNHK番組「週刊ブックレビュー」で高野秀行氏が「おすすめの本」として紹介し、また直後8月26日日経新聞夕刊で八谷和彦氏も「読書日記」に本書を紹介している。読んだ感想はとにかく素晴らしいの一言だ。明治31年12月28日に日本を出帆したが、明治32年5月にミッドウェー島付近のパール・エンド・ハーミーズ礁で難破した龍睡丸(76t、2本マスト、スクーナー型帆船)乗組みの16名の漂流実話だ。昭和16年10月から「少年クラブ」に13カ月間連載され、昭和23年10月に刊行されたという名作だ。中川倉吉船長のリーダーシップが素晴らしい。また榊原作太郎運転士が人格者で頼れる参謀だ。鈴木孝吉郎漁業長、井上水夫長の幹部達の忠誠心が素晴らしい。乗組員は、報効義会(千島列島先端の占守島に住み千島の開拓に努める団体)の4名(川口雷蔵他)、練習生2名(浅野、秋田)、小笠原の帰化人3名(小笠原島吉、範多銃太郎、父島一郎)、水夫・漁夫3名(小川、杉田、国後)の合計16名だ。塩辛い石灰分が多い井戸水しか飲めず、木材・薪がなく、野菜がない小島の生活。蒸留水製造機を作り、塩を作り、行灯で火を絶やさず、海抜4mにやっとのことで4mの砂を上乗せし見張り台を作り・・と粛々と前向きに漂流生活を受け留めていく16名。叙述も特に、難破して物資を移す場面、小島から他の島探しに探検の場面、小笠原老人の鯨の話等々は鋭い筆致に引き込まれる。心の持ち方で愉快にもなり心細くもなり、ぶらぶら遊んでいるのが最もいけない、誰でも順番に仕事を持ち回りに決めた、誰もが熱心に自分の仕事をし、一人の仕事が16人に、16人は一人にという中川船長の仲間意識作りには頭が下がった。また本来あるべく組織の運営能力や管理能力を持つ中川船長は素晴らしく、不足気味の企業幹部社員は読んだ方がいい。古い作品だが著者の文体に違和感はない。