376ページまでは...
★★★★☆
さして面白いとも思われなかった。
過去に因縁があり、その後、薬を使った似た様な事件に巻き込まれた男女が、諍い
言い争ったりしている内に、段々恋愛感情を深めて..という何時ものパターン。
背景に警察署火災に関わる謎が潜んでいる様子だが、最後は、やっぱり恋愛メインだろう、
とタカをくくっていい加減に読み飛ばしていった。
ところが400ページ過ぎた辺りから、話はジェットコースター、同性愛、ドロドロの近親相姦、SMプレイまで含めて、
土壇場の連続どんでん返しに身を委ねて読了。
全体としては、テレビレポーター、軽薄タイプのプレーボーイ、野心家の政治家、キャリアー大事の警官、裏求人サイトでリクルートされた
殺し屋などなど多彩ではあるが、よくあるタイプの登場人物を旨く配置し、有りそうながら無理な設定を力でねじ伏せて、
面白い話に仕上げた手腕は流石か...
ただ、今の自動車の空気弁は、キャップを外したくらいでは空気は抜けない構造のはずで、これ、向こうで指摘は
なかったのか? また、せっかく追跡者を逆に突き止めたのにワザワザ(ラリーの制止を振り切って)、相手の
車の空気キャップはずしに行って見つかるのってちょっと無茶...
このブリットと言う女性は主人公のはずなんだが、本筋の事件解明には、結局自分から事件解決に動くことはなく、
相棒ラリーが全部カタを付けてゆくんだが...唯一自ら進んでの行動が、上のキャップ外しとは...
この辺の違和感が大きくて☆は3.90 位という所か...
ラストの “どんでん返し”まで一気に読ませる仕掛け尽くしの<サンドラ・サスペンス>
★★★★☆
ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー・リストに発売と同時に第1位を獲得した作品。サンドラ・ブラウンは、もともとはロマンス小説家であるが、年に1作程度本書のようなサスペンス・エンターテインメントを世に送り出している。
舞台はアメリカ南東部サウスカロライナ州の大西洋に面した都市チャールストン。ストーリーは地元テレビ局の美貌の報道記者ブリットが、プレイボーイで名高い刑事ジェイの寝室のベッドで何も身に着けない状態で目覚めるところから始まる。
ジェイは彼女に何か重大な“特ダネ”を提供しようと呼び出したのだが、たった一杯のワインで前後不覚に陥ってしまい、彼の家にたどりついてからの前夜の記憶がまったくなかった。やがてジェイが枕を顔に押し付けられて窒息死していたことが分かると彼女に疑いの目が向けられる。
ブリットは、元消防署の火災捜査官で、5年前に彼女と同じような体験をして何もかも失ったラリーに半ば強引に連れ出される格好で、真相の究明に乗り出す。
事件の謎はどうやら5年前のチャールストン市警本署の火災にあり、その時に大勢の人々を救い出したとして一躍ヒーローとなった4人の周辺にあるらしいことが分かるが、何者かがふたりを執拗に付けまわし、命の危険にさらされる。
危機、また危機、逆転また逆転の連続、疾走するサスペンス。いつしかふたりの行く末と安否に心奪われながらサンドラ・ブラウンの織りなすストーリーテリングに読者は翻弄され、ページを捲る手が止まらなくなる。この先ふたりはどうなるのか・・・、果たして事件の真相は・・・、そして黒幕は誰なのか・・・。
本書は、ラストの“どんでん返し”まで、641ページもの長さを苦もなく一気読みさせる、仕掛け尽くしの<サンドラ・サスペンス>である。