歯切れのいい俳句紹介
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要所を得て、さわやかな俳句紹介は「季語」を中心にしている。簡潔で分かり易い。月一回なので、聞き落とすことが多い。歯切れのいい口調に聴き惚れる。持って生まれた天性。こんなに一冊にしてくれてありがたい。その声音まで幻に聞きながら読めるのが不思議。
「新年」の季語が400語もあるそうだ。一番多いのは夏が1200語、春・秋・冬が800語、合わせて4000語(いずれも概数)とか。
ここでは多くは紹介できないので残念。めでたい新年の「年賀状」の前半のみを紹介させていただく。
季語「年賀状」 正月三が日といえば、昔は「年始回り」をしたものですが、今ではそれも少なくなって「年賀状」になりました。最近では電話や電子メールまでありますね。(中略)紛らわしい季語に、その年の初めの便りをいう「初便り」があります。「年賀状」はせいぜい「松の内」か、十五日の「小正月」までのもので、季語の上では区別しています。
賀状うづたかしかのひとよりは来ず(桂信子)
銀色の失名賀状妻に来し(秋元不死男)
薄幸の字の美しき賀状かな(五十嵐播水)
新年の句は、めでたさ一色では内容が平板になりますが、これら三句には屈折があるので、深い味わいがあります。(「深い味わい」の説明は省略)
「ラジオ歳時記」の放送は平成11年より続いている「生(ナマ)放送」でピンと張りがある。鷹羽狩行・宇田川清江の名コンビにもよる。
一つエピソード「秋風やみずから生を断ちし父」の作者は若者で「生(ナマ)ビール」だったとのこと。秋になって熱燗に変えたという意味だったということ。その他、エスプリの効いた対話が飽きさせない。