これだけ「戦い」だけに徹した映画も少ないだろう。余計な脇道のストーリーには一切踏み入らず、本筋を見据えたことで、観る者の集中力を高めていく作品だと言える。舞台は、古代ギリシアの国家スパルタ。男は最強の戦士となるべく育てられるこの国で、王が大帝国ペルシアからの使者を殺してしまう。ペルシアからの報復に立ち向かうべく、王に率いられたスパルタの戦士300人が出陣。100万にもおよぶペルシア軍の猛攻撃に立ち向かっていく。
原作は『シン・シティ』などと同じフランク・ミラーのグラフィック・ノベル(コミック)で、時代モノという以上に、どこかファンタジックな香りが漂うのは原作のテイストに追従しているから。CGの背景に実写の俳優たちを合成した映像は、独特のダークでミステリアスな雰囲気を作り出している。はるか彼方まで続く大軍や、古代の自然風景など、CGが必然として使われ、手法に納得できるのだ。戦士たちによる合戦では、血が飛び散り、首の断面も見える生々しさだし、巨大なサイや象、不気味な仮面軍団も相手にした、少数精鋭スパルタ軍の進撃は、一瞬たりとも緊張感が緩むことはない。俳優たちの個性は伝わらないが、それもこの作品の狙いか。累々と重なる死体の山に象徴されるように、本作の主役は「戦い」そのものなのである。(斉藤博昭)
歴史とは無関係な映像作品
★★☆☆☆
いくらマンガが原作とはいえ、歴史的事実とも文献記録とも何ら無関係な映像作品でしかない。
よって児童向きの作品としても、たんなるスペクタクル史劇としてもオススメ出来ない。
何よりもヒドイのは、ギリシア人(スパルタ人)を「女色に耽る下等な野蛮人」として描き出したり、ペルシア軍を恰も怪物もどきの集団として表現している点である。
欧米人が今なお根強く持ち続けて放さない「宗教的偏見」や「人種差別ないし民族差別的思想」が露骨に現れていて、本作の価値を著しく減じているのは紛れも無い事実である。
また「裏切り者」を悪役だからと言って「障害者」に仕立てているあたりも差別的視点が鼻についてならない。
重ねて云うが、これでは子供にも、古代史に無関心な一般視聴者にも、到底オススメすることは出来ない。
部分的に歴史上の人名を借用しているがため、なおさら始末に負えないとも云えるだろう。
これなら全くのフィクションとして一から架空のソープ・オペラの世界を創り出したほうが遙かにマシだったと断言できる。
なお、登場人物にはただの一人として観るに耐える「肉体美の持ち主」は存在しないので、宣伝文句に欺かれないように注意が必要である。
映像美こそすべて
★★★★☆
予想を裏切ってなかなかの作品だった。確かにドラマや史実との関連を重視する方には物足
りないかもしれないが、この独特な映像表現はそれだけでもかなりの説得力を有すると思う。
呼び物になっている戦闘シーンでは、緒戦における一般ペルシア兵との激突は古代戦争アク
ションとして見応えがあるが、黒装束・銀仮面の親衛隊(相変わらずナチスのSSかフセイ
ンの共和国防衛隊のイメージか?)が登場するあたりから漫画になってしまった。
クセルクセスが訳わからん悪魔的君主になってるのも失笑物だし、ペルシアってギリシアと
同じアーリア種族なのに、軍装が「アレクサンダー」に出てきたダレイオス三世麾下のペル
シア軍同様イスラムっぽいのも変だ。スパルタ側が上半身裸ってのもおかしい。
などなど突っ込みどころは多いが、映像美が圧倒的な力を発揮する。普通の撮り方だと相当
血生臭い描写もここでは古典絵画の美しさに変じている。スパルタ軍玉砕を示すワンカット
など聖者の殉教図のようである。こういう映画も悪くない。
大画面で見るべきアクションの数々
★★★★☆
300対100万で戦って、300が勝つのが映画でしょう。最後の瞬間に援軍が来る、というのがハリウッド映画の伝統では……。「ラスト・サムライ」「硫黄島からの手紙」と、玉砕映画が作られているのは、死ぬ気でテロと戦え、というメッセージでしょうか。映像は一見の価値ありです。
いや〜すごいな〜
★★★★★
前から興味があったので見てみましたが、すごい迫力の闘いでした! スパルタの男たちの勇ましいこと! 劇場公開前のCMで「この男たち…強すぎる。」と言っていましたが、まさにその通りでした! そして後半は男の美学みたいなもの満載です! 値段もおてごろ価格なのでオススメです!!
マッチョ祭り
★★★★★
ほとんどすべての登場人物が筋肉ムキムキのマッチョという映画。筋肉が
6つ8つと分かれており、それ自体が肉の盾となっているため、鎧なんて
必要ないといわんばかりの裸祭りです。
またところどころにHシーンもあるところがうれしいサービス(笑)
アクションや戦闘シーンの痛快さだけで楽しめるけど、その背景のスパル
タやギリシアの歴史をしっているなら、さらに楽しみは深まるのではない
かとも思います。
ただ、アメリカが好きな言葉の「正義」と「自由」を連呼するのはやはり
アメリカ映画だなと思う。さすがに時代設定的にもう一つのアメリカの大
好きな言葉である「民主主義」は出てこなかったけど(笑)