本書が、批判しているのはまさに、この行き過ぎた「人間中心主義」。
人間の手ですべてをコントロールできるという
思い上がりが、これまで地球環境を悪化させてきた。
だが、今おきつつあるのは、
文明レベルでの気候変動である。
この状況で人間が生きていくためには、
これまでの人間中心主義では、限界がきている。
それに代わって、火急の問題として導入すべき価値観。
それは・・
本書が発刊されて約1年。
毎年、「災害年」と名づけなければいけないような事態を見るにつけ、
本書の指摘はますます重要度がましているように思われる。
気候変動というのは,これまでにも何度も何度も起きているもの.
われわれ人類が誕生した後も,何度となく発生している.
過去に起きた気候変動に対して,人類がどう対応してきたのか?
著者をはじめとするグループによるこれまでの研究成果から,それをひもときつつ,
著者自身のユニークな歴史観と共に紹介している.
ヨーロッパの温暖・寒冷時の様子は,他書でもよく見かけるが,本書で特徴的なのは我が日本におけるこれまでの気候変動の影響と歴史的同行との関連性を述べた第三章から第五章にかけて.
実際どれだけ信頼のおけるものなのか,これから慎重に見ていきたいところだが,気候変動が我々日本人の持っている歴史観に影響を与えている興味深い節で,読み物としても十分楽しめる.
現在進行しつつあるとされている温暖化が,あたかも人類史上初のものであるかのような印象を与える昨今の風潮とは一線を画し,気候は変動するモノであり,人類はこれまでにそういう変動に翻弄されながらも対応し,いまにいたっていることを示している点で好感が持てる内容であった.