初期の頃に比べると、だいぶおどろおどろしさがなくなった気がする。
良い意味でマイルドに、悪い意味で毒がなくなってきた印象があります。
著者の文頭の挨拶にも、昔の毒気が感じられないです。
あれ？全然後味悪いこと書かれていない、と。
勿論、今回の作品の中でも、ぞっとする嫌な後味が残る物もあるのですが、
以前よりは少ないと思います。
個人的なおすすめは、「記録」「リペア」。
東京伝説シリーズを初めて手に取る人には、易しめの一冊かもしれません。

前作を読んでパワーダウンを感じていただけに、これについても、「まぁ、こんなもんだよね…」という感想でした。

どうしても、最初の2‾3冊を読んだ時のような、悲鳴をあげそうにる程の恐怖は、もうここには無いのです。


本文だけでなく、前書きの、著者の「してやったり」感にもドン引きしました。
《予言の書》《ハードコア・サバイバルブック》と言われて喜んでいるあたり…。

「東京伝説」なんだから、もっと淡々としていて欲しかった。



著者も、『「超」怖い話』から卒業されたようなので、私も「東京伝説」はこれで読み納めにします。

相変わらず怖い現実・知りえない世界を反映している作品。
このシリーズのおかげでかなり用心深くなりました。
無謀なことはしてはいけない、勇気と単独行動をはき違えてはいけない、など
何度再確認させてくれたことか。

今回も、後々まで心に残り後を引くような作品が幾つか入っています。
本書には、悪夢を見つつも平凡な生活の有難さを図らせてくれるという利点があります。

今でも散々出てきましたが、レビューを読んで下さった女性の方々へ助言です。

１，就寝時には戸締まりを忘れないこと。
２，音楽を聴きながら外を歩かないこと。
３，ストーカー気質の男を見極め、近づけさせないこと。
４，単独登山は程々に。
５，まともじゃない金融機関からは借金をしないこと。

今回で11作目まで続いた『東京伝説』シリーズ。 相変わらずのリアリティで、この狂った世界に生きる人々の『ハードコアサバイバルブック』だと思います(特に女性)。

ただ… シリーズを読み続けてきた『東京伝説ジャンキー』には過去の作品に比べて、こうガツンと後頭部を殴られたような話しが無かったように感じました。

ただ単に慣れたとか麻痺したと言われればそれまでですが、作品によっては過去の話しに似たシチュエーションの文があり、そのせいでイマイチ盛り上がりに欠けた部分もあると思います。

なんか『怖い話』というより『サバイバルブック』になっちゃったのかなと。

正直、ややパワーダウンという気もします。

ただ、初めての方にはこの作品から過去作へ進んでいくほうがショックが少なくて良いかと。

『東京伝説』入門編としてはオススメで、おまけで★4つです。