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シューマン:ピアノ五重奏曲、ピアノ四重奏曲

価格: ¥1,600
カテゴリ: CD
ブランド: ユニバーサル ミュージック クラシック
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シューマン室内楽の白眉!!!! ★★★★★
このディスクの評価としては、先行レビュアーに全面的に賛成。

ライン川に身投げする10数年前、シューマンには“室内楽の年”というものがあり、ここにある作品44のピアノ・クインテットと作品47の同カルテットが残された。シューマンほどにその生涯のエピソードと作品との関係性に興味が持たれる作曲家もいないと思われるが(?)、このふたつの室内楽作品の幻想性には心を奪われる。傑作である!!
イェルク・デムスとワルター・バリリ率いるバリリ・カルテットの1枚は、その傑作を往年のウィーンの潤いと間然としない確かな技術で描いて止まない。こういうのを貴族的というのだろうか? 見事!!!
1956年のモノラル録音だが、アンサンブルには言葉を失い、温かい音色に魅了される。キンキンと耳にうるさいところがまるでなく、ピアノも弦もシューマンのロマンとファンタジーにぴったりと適う。音楽を聴く歓びはここに極まれり!!! カルテットの第3楽章「アンダンテ・カンタービレ」は今風に言えば、ヤバイ!! イロイロなことを思い出し、思わず目頭が熱くなる。ここばかり何度も続けて聴いている。
イキモノガカリの『エール』にも一時そんな風になったな。あれはユーチューブの合唱版に接してで、その後飽きたが・・・・。

聴かず嫌いのシューマンへの耳を開いてくれた奥泉光の小説『シューマンの指』と、共著の『クラシックの名盤』で本ディスクを紹介した中野雄に感謝!!!
ウェストミンスターの“名盤”というのは、ほかのケースとは違ってホンモノの名盤が多いなあ〜。

5日間の盆休みの最後に、この概ねシアワセなシューマンを聴けてよかった。
シューマンの「魂の詩」 ★★★★★
2010年はシューマン生誕200年に当たる年で、シューマン作品の演奏やCD発売が盛んに行われることだろう。シューマンの代表的な作品というと、交響曲、ピアノ協奏曲、歌曲、ピアノ独奏曲が挙げられるが、室内楽も幾つか残している。1842年はシューマンの「室内楽の年」と言われ、三つの弦楽四重奏曲、ピアノ五重奏曲、そしてピアノ四重奏曲が作曲された。室内楽は作曲家の技量が直接に最も現れる分野と言われ、ベートーヴェンの偉大な室内楽はその代表的傑作として現在に至るまで高い評価を得ている。そのベートーヴェンを尊敬していたシューマンは、どちらかというと小さな規模の作品で素晴らしい作品を幾つも残している。深いロマンを湛えたシューマンの資質は、技量と構成を重んじる室内楽ではむしろマイナスに働いてしまうように思えてしまう。けれども、ここに収められた五重奏曲と四重奏曲は、シューマンの特質が実にロマン溢れる独創的な作品として結晶している。

五重奏曲の方はポピュラーで、輝かしく生命感溢れる楽想が特徴で、聴いていて爽快な作品だが、響きが厚ぼったいと揶揄される曲でもある。室内楽というよりも、交響楽的作品というべきだろうか。他方、四重奏曲は、シューマンの内省的なロマンと室内的構成が高次に調和した作品として、この分野の傑作としてもっと評価されるべきである。バッハ研究に基づく対位法書法と、深いロマン、室内楽構成がシューマンの個性によって結晶している。特に、第三楽章の非常に美しい歌謡的旋律は、シューマンの愛妻に捧げし「魂の詩」ではなかろうか。ベートーヴェンのピアノトリオ「大公」の第三楽章にも匹敵し得る美しい楽章である。この二つには共通点があるように思う。「大公」はいうまでもなく、ベートーヴェンのパトロンであったルドルフ大公に捧げられた曲であり、シューマンのこの四重奏曲はおそらく、愛妻クララに捧げられたものだろう。愛する者に捧げる曲には、その親密性と第三者をも感動させる力があるのではないかと思った。

デームスとバリリ四重奏団の演奏は、その親密性も然ることながら、曲に対する共感、いや、もはや同化した境地に達している。録音はモノラルであるが、十分にその素晴らしさが伝わってくる。バリリ四重奏団はシューマンをほとんど録音しなかったようだが、こうしてこれらの曲が残されたことに深く感謝したい。