インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

半七捕物帳〈1〉 (光文社時代小説文庫)

価格: ¥680
カテゴリ: 文庫
ブランド: 光文社
Amazon.co.jpで確認
時代を感じさせない ★★★★☆
昭和初期執筆の作品とは思えない作品です。
単に岡っ引きが犯罪者を取り締まるものではなく、若者(作者)が引退した老人(半七)との会話を綴った形式となっている。

ストーリーテラーは従って半七でありそこがまた味を出しているところになっている。
鬼平犯科帳とは違ったとりもので時代小説が好きなら一度は読んでみて欲しい作品です。
江戸岡っ引ミステリー第一巻! ★★★★★
シャーロックホームズに影響を受けた作者岡本綺堂が
舞台を江戸時代に、探偵を岡っ引に代え仕立て上げた
推理物シリーズ第一巻。明治の世に、若い新聞記者が
岡っ引き上がりの老人半七の昔話を聞くというスタイル。

謎解きのテクニック等は確かに現在のそれに比べると単純かもしれないが、
100年近く前に書かれた点を考慮に入れると決して古びているわけではない。
それ以上に、捕物帳というジャンルを一人で創り上げ、
この作品が未だその頂点に君臨しているのは驚異に値する。

また現代に生きる我々が本書を手にした場合、
この目で見たことも無い江戸の粋な風俗/情緒が
スタイリッシュに、生き生きと描かれている点が
この上なく興味深く、魅力的である。

本書第一巻は14の短編を所収。「勘平の死」という短編が印象的。
岡っ引半七が犯人をとある方法で追い詰め、その結果、その犯人はある行動を採る。
それは現在のモラルからすると×なのだが、それを半七は優しさからやっている。
現在の我々のモラルからすれば全く腑に落ちないのだが、これが書かれた
明治の世には未だこの感覚があったのだろうと想像すると極めて興味深い。
江戸の香り ★★★★☆
 1985年に出た『半七捕物帳』の新装版。活字が大きくなっている。そのぶん、厚くなってはいるが、読みやすいのは間違いない。
 「お文の魂」から「山祝いの夜」までの14篇が収められている。
 捕物帳というスタイルを確立したことで知られる「半七捕物帳」だが、結局、これを乗り越える作品は生まれていないのではないかと思わされる。やはり、文章が良い。スタイリッシュで、淡々としていながら、味わいがある。
 江戸の風俗を描くという点においても優れていると思う。自身が旗本の子孫であった岡本綺堂ならでは。また、幕末に活躍した半七の話を、思い出話として聞く形式を取っており、無理なく物語の世界に入り込める。
 ただ、ミステリとしては弱い。トリックと呼べるほどのものはないし、プロットで読ませていくタイプなのだが、真相が明らかになっても、あんまり驚きはない。そういう読み方をしてはいけない作品なのだろうとは思うが。
郷愁を呼ぶ江戸情調 ★★★★★
文章も平易で、あっさりした印象でありながら、何度読み返しても味わい深く、その江戸情緒が郷愁を呼ぶ。

昔、小林信彦さんがフォード監督の「リバテイバランスを撃った男」の映画評で「額縁に入った昔の絵」という表現を使われていたが、この作品もまさにそうである。半七老人が語る事件は彼の若き日の回想であり、それを聞いた当時駆け出しの新聞記者であった筆者が、往時の老人との交友を懐かしく回顧しながら記すという二重構造が郷愁を呼ぶ仕組だろう。

このシリーズを読んだ後に読むと、あの「鬼平犯科帖」なども、ひどくあざとい物語に感じられてしまう。

第一作の「お文の魂」で記される「半七はだれに対しても親切な男であった」という主人公のさわやかな印象がシリーズ全編を通じて感じられ、それも心地良い。

江戸の不思議と怪異の雰囲気に親しみつつ、推理小説の謎解きの妙が楽しめる短編集 ★★★★★
 江戸幕末に岡っ引として活躍した神田三河町の半七親分が、その手柄話を、明治30年頃に「わたし」に語って聞かせる。その事件の顛末を、「わたし」がメモ帳に記して世に発表したのがそれぞれの話であると、そうした聞き語り形式の連作短編集ですね。半七老人と「わたし」が会って、時候の挨拶を交わす話の枕の部分。その話がきっかけとなって、「そう言えば、こんな話がありましたよ」と、半七老人が手柄話を語り出す。あわててメモの手帳を取りだして、事件の顛末を書き記していく「わたし」。事件の真相が半七老人の口から明かされると、舞台は江戸から明治の今に立ち戻り、話はささっと閉じられる。
 ワンパターンの話ですが、淡々と抑えた綺堂の筆致がまず素晴らしい。そして、行間から立ち上ってくる江戸の風情の粋なこと。ぼおっと霞むような光と闇の世界がそこには広がっていて、ふっとなつかしい気持ちにさえなります。雅趣に富んだ話の味わいがいいんですよ。

 本書で一番気に入った話は、「奥女中」でした。
 文久二年(1862年)八月、茶店を出している母親が、娘の身に最近妙なことが起きて心配であると、半七親分にその謎を調べてくれるよう頼みに来ます。そして、お蝶という美しい娘が時々に姿を隠す不思議の話が、母親から半七親分に語られていきます。怪しい夢のような話に耳を傾けていると、やがて話に動きがあって、そこからすっと解決の光が射し込んでくる。不可解な謎に筋道がついて、そこからさらに、静かな調べを湛えた話が流れて行く。しみじみと心に染みてくる話の風情に魅了されました。