タイトルに難あり?
★★★★☆
著者が自身のキャリアを自伝的に、そして正直に振り返る本。女性ならではの困難にどう対処し、どういう信念と価値観を築いたのかが非常によく分かり学ぶところが多かった。一般論として女性のキャリアを考える上でも有益。この意味では星5つ。ただ、私は「部下を好きになってください」というタイトルから、リーダーシップやコーチングに関する内容を期待しており、この内容は非常に少なかったのが残念。これは著者が部下から実際に言われた言葉だそうですが、著者が部下を好きになっているのかどうか、それはなぜなのか、どう好きになっているのか、そしてどういう効果があるのか、などは分からずじまい。
企業で女性がキャリアを形成して行く逞しい事例
★★★★★
著者の個性が周りの環境から浮いてしまう。女性がただ一人では頼れる同僚や先輩がいない。教えてくれる人のいない中で、苦労して経験を積み上げていく姿が描かれている。論理的な思考を説く意図する著者には周りのことを理解する余裕も無く驀進している。部下との付き合いがわからない。書名の「部下を好きになってください 」は、著者が部署を去るときに部下に言われた言葉である。この言葉が、著者のその後のキャリア形成について重要な基礎となったそうだ。
初めての女性役員と言うことは、著者も初めての経験であるが、回りも始めてのことだ。そうするとお互いの常識や経験が通じない環境だ。著者が幸運なのは、アイビーエム本社には、女性の役員が既にいること。良いメンターと良いコーチング環境があった。
古い男性主体の会社の中で女性が抜擢されても、環境が整っていなければ、掛け声だけで終わってしまう。もちろん当の女性の適正さや努力、私生活とのトレードオフも必要である。本書は女性だけでなく、女性の管理職を増やそうと思っている男性経営者も熟読してくれることを期待したい。女性が能力を活用できる職場を作ることの難しさも分かるだろう。
女性のキャリアアップの背中を押してくれる本
★★★★★
これまでたくさんのビジネス本を読んできたが、この本ほど、女性のキャリアアップに関する苦悩や乗り越え方をきちんと書いた本はない。
何よりも、具体的で、事例もあって、しかも論理的に書いてある。
誰かの経験話を紹介したものではないので、共感と感動が一度に沸いてきた。
この本を読んでから、日々の行動が変わって、周囲に対して気後れすることが無くなった。
男性社会の中で苦悩し、道を選ぼうとしている女性管理者に是非読んでほしい。
あなたは部下が好きですか?
★★★★☆
私が一番印象に残ったのは、この本のタイトル通り、「部下を好きになってください」という言葉です。まずは胸に手をあてて考えてみましょう。この本は、女性活用戦略ということで書かれているのでしょうが、以下のことは男女関係無く当てはまります。
・自分の根っことなる信念と価値観を持つ。
・定年退職のときに、どの部署のどの地位でやめたいかを明確にして生き方の覚悟を決める。
・縁の下の力持ち的な仕事から逃げない。派手なところにばかり行きたがるのは嫌われるタイプ。(こういうやつは結構いる。私も大嫌い)
・馬に乗ると決めたら降りない。(男性で降りる人は少ないでしょうが、積極的に乗り続けるという意思を持つ男性も少ないと感じる)
・ギブ・バックの精神を持つ。
ダイバーシティという観点では、女性だけでなく、世代間でも広がってきていると感じます。オールド・ボーイズ・ネットワークの「ア」、「ウン」は、男性社会の中でも伝わらなくなりつつあるような気がします。会社における将来像がわからないという不安が大きい中、ここまでの地位に上り詰めた著者はやはりすごい人だと思います。著者の覚悟を感じます。
”メンター”達の言葉は、とても参考になります
★★★★★
普通の大学生が外資系の会社へ入社し、”会社ならでは”かつ”女性ならでは”の困難に逢いますが、その度に出会うアドバイザー(メンター)の方々の言葉を真摯に実行してきた筆者の生き方が参考になりました。
また、本の中にちりばめられている”メンター”達の言葉は、会社員ばかりでなくとも、人生のあり方として、とても参考になります。
個人的に好きな部分は、ストレス発散法。とても効果ありそうなので、即実行したいです。