読み出したら止まらない。
市川さんの世界は相変わらず心に残る。


読み終えると悲しみが溢れてくる
もちろん感動も。

何日間かこの物語への気持ちを引きずりました(笑)

読み終わったあとの余韻がせつなかったです。
でもそこにはちゃんと愛情というものが込められていて、嫌な感じはしませんでした。
ただ、「せつない」とだけ。
全体を通して、
悟と裕子という二人だけの閉ざされた世界での愛情が描かれています。
色んな事件が起こるだとか、変化が激しいものでもなく、
日々たんたんと過ぎていく中で、少しずつ変化していく。
出てくる人物も少なく、社会とは少し隔絶された雰囲気を漂わせている風にも思えます。
反対にそれが、ストーリーを通してもつ柔らかさみたいなものかもしれません。

是非ともオススメ！
という感じではありません。
刺激もまったくなく、先の展開も読める話だと思います。
そういった意味では、つまらないかな〜とも思います。
でも、変わらない愛情、やわらかさ、そして せつなさ。
何気ない日常の中に起こる非現実的な出来事を受け止め、
散りばめられた小さな愛情をやさしく見守るのが嫌いじゃない人なら向いているかもしれません。

２人の気持ちが純粋で素直で、とても心が温かくなる作品でした。
ただ、途中から展開がマンネリ化してしまい、メリハリがなかった気がします。
ゆっくりと状況が変わっていくのは良いのですが、同じようなテンポで
同じようなエピソードが繰り返されるのはちょっと・・・。
ラストが思っていたよりも遙かにあっさりしていて、「何で！？」という思いが
強く残ってしまいました。

爽やかで気持ちいい本です。
内容も感動でき、読み応えも一気に読める分量でちょうどいいです。

日常を忘れて、心地いい世界に浸れました。

「いま、会いにゆきます」に通じるファンタジックラブストーリー。
妻がだんだん若返っていく過程で描かれる夫婦の愛情や行動がとても切なく、どのページから読んでもじわりと涙が溢れてくる。
妻の心までもが幼く変化していき、昔の記憶が彼女からだんだん薄れていく中で交わされる言葉、「ねえ」「うん？」「この楽しいって気持ちが、想い出になるんだよね？」をはじめ、あげればきりがないほど印象的で切ないフレーズがたくさん。
読み終わったあとは心が静かになり、余韻が残ります。