くるくる元気な風の子と出あった少年ハンス。風さんがハンスの手を取って走り出し、息をきらせてハンスも続く。りんごの木に飛び乗れば熟れた金の実を揺り落とし、別の木では色づいた葉っぱの散らしっこ。ぴょんぴょんぴょんと雲に乗り、ぐんぐんと飛んでいく。ハンスのおうちに着いたなら「また明日も遊ぼうね」。
秋という季節の豊かさと「見えない存在」のものたちをリアルに感じさせてくれる1冊だ。宗教画も手がけたオルファースのイラストは様式美を感じさせ、今の時代においてもそのみずみずしさを失ってはいない。アート好きな大人にもおすすめの絵本である。(小山由絵)