中国モノがお好きな方はとりあえず読んで損はなし
★★★★☆
非常に乱暴な言い方ですが、「水滸伝」と「封神演義」と「冬のソナタ」を足して三で割らないような内容のお話を想像していただければ、まず当たらずとも遠からずです(笑)
筆者の金庸先生は話の荒唐無稽さ・えー加減さはともかく、中国現代文学の礎を築いたと称される御仁だけあり、人物造形と心理描写においては絶妙。主人公の超人的でありながら清濁併せ持つが故の人間臭さ(少年ジャ●プが好きな人にはウケそうだ)、お師匠(ヒロイン)の突き抜けた浮世離れ加減、その二人が並居る豪傑蹴散らして織りなす傍若無人なまでの純愛は、いっそ清々しいです。いやあ、あの文革時代によく焚書にならず残ったものだ。
本作品はシリーズ三部作の真ん中にあたるのですが、前後を読まなくても問題はありません。ただし妙な勢いとアクがあるため、読者によって好き嫌いがはっきり分かれるような気がします。
吉川英治先生のような作風がお好きな方には辛いかもしれませんが、昨今流行りのライトノベルがお好きな方には入り込みやすいかと。