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フリアとシナリオライター (文学の冒険シリーズ)

価格: ¥2,520
カテゴリ: 単行本
ブランド: 国書刊行会
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物足りない ★☆☆☆☆
一言で言えば、リョサの長編小説「緑の家」「ラ・カテドラルでの対話」「世界終末戦争」と比べると物足りない。
語り手とフリオ叔母さんとの恋愛遊戯もママゴトのようだし、物書き先生が作るラジオ劇場も、どこか作り物じみている。
ポストモダン小説というほどに工夫やひねりはありません。
ラジオ劇場と現実世界が交錯することがほとんどない以上(物書き先生の発狂以外)、
普通の喜劇としてしか読めない。

ユーモアあふれるコメディ小説といったところだろうか。
面白く読みやすいラテン文学 ★★★★★
長編小説ですが、ラテン文学ならではの魔術的牽引力でぐいぐいと引っ張ってくれるので難なく読み進めることが出来ました。

特に、著者の自伝的物語の部分は、南米特有の鷹揚さ、空気の濃さなど、現代の日本では決して体験できないような魅力に詰っていて、非常に引き込まれます。

面白く読みやすいラテン文学を探している人にはぜひお勧めします。
いつまでもページをめくっていたいと思わせる作品 ★★★★★
 舞台はペルーの首都リマ。主人公は、大学生でありながらラジオ局でのバイトに励む作家志望の青年。この青年と義理の叔母との恋愛・結婚騒動、職場仲間達との交流が小説の軸である。ところがこの青春小説の軸に、なぜか主人公のバイト先の系列局で流れる"ラジオ劇場"の9つの物語が挟み込まれる構成になっている。つまり主人公周辺の現実の物語と、ラジオ劇場という創作の物語が、章ごとに交互に展開する仕掛けである。
 "ラジオ劇場"の台本を手掛けるのはボリビアからやって来た大作家先生ペドロ・カマーチョ。主人公の青年はカマーチョを評して言う。"一方では作家のパロディーでありながら、同時に、自分の職業に捧げた生活、そしてそのなかで産み出された作品によって、ペルーで唯一作家と呼ぶにふさわしい人物"。カマーチョは登場人物に成りきるためにコスプレをして執筆するほどの"熱狂的専業作家"であり、主人公(=著者)の作家の理想像でもあるだろう。
 カマーチョの紡ぎだす物語の数々は、当初、聴取者の圧倒的な支持を得るが、やがて、日に何本もの"ラジオ劇場"を手掛けるうちに、登場人物が複数の物語にまたがって出てきたり、死んだはずの人物が役どころを変えて生き返ったりと、破綻をきたしてしまう。カマーチョはついには精神病院送りになってしまうのだ。最終章は、現実の章だが、10数年が経ち、主人公は作家として大成する一方、カマーチョは三流雑誌の使いっ走りに身を落としている。つまりカマーチョ自身も彼の描く"ラジオ劇場"の登場人物さながら、役どころを変えてしまったのだ。
 本作は、自伝的手法、ポストモダン的な手法で、著者自身の作家論、文学への思いを込めた作品だと思う。一方、読み手としては長編青春小説とラジオ劇場という2つの異なった物語世界を堪能できる。文学の愉しみに浸りながら、いつまでもページをめくっていたいと思わせる。1977年の作品を2004年にしか読めない状況に苛立ちを感じながらも、訳者に敬意を表したい。いずれにしても一気に読んでしまうのはもったいない作品である。
抱腹絶倒 ★★★★☆
ひさしぶりに長篇小説の醍醐味を味わわせてもらいました。内容は、著者リョサによる一種の青春小説です。作中人物が書いたラジオドラマのシナリオを一章ごとに話の本文と交互に挿入するという手法が物語世界に奥行きを与えており、さながらホフマンの「牡猫ムル」やスターンの「トリストラム・シャンディ」を髣髴とさせるものがあります。狂的な笑いのセンスも冴えており、ほとんど全盛期の筒井康隆と通じるものを感じました。語り手の「ぼく」(リョサ)が終始尊敬の対象として描いていたシナリオライター(ペドロ・カマーチョ)が、最終章に至って急に卑小な存在として浮かび上がる描写の鮮やかさも見事という他ありません。惜しいことに訳文が今ひとつこなれていないので、星一つ減点することにしました。
小説の醍醐味が味わえます。 ★★★★★
お腹一杯になります。交互に語られる現実世界とシナリオの世界は、スマートさと猥雑さが表裏となって、現実世界がシナリオ世界に歩調をあわせるように読み進むにつれて、諧謔の度合いを増してゆく。う~ん、ウマすぎる。ほとんどノンフィクションだという叔母との恋の逃避行が、驚くやら羨ましいやら。
シナリオ世界のおもしろさも格別で、毎回趣向の違う話がかなり魅力的に描かれる。良質の短編を、大盤振る舞いって感じで、ほんとご馳走様なのだ。それぞれラジオドラマ用に描かれたものだから、毎回先行きが気になる一番いいところで終わってるのが、またいい。登場人物たちも個性的でひとクセもふたクセもある人ばかり。豊穣といっていい小説の醍醐味が味わえます。おすすめですね。