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ブルックナー:交響曲第4番

価格: ¥3,000
カテゴリ: CD
ブランド: オクタヴィアレコード
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骨太で生命感溢れるブルックナー ★★★★★
 今年(2008年)はカラヤン、アンチェル、朝比奈氏という大指揮者生誕百年を記念する年である。市場ではそれにちなんで多くのCD,DVDなどが発売されているが、その中に朝比奈氏の名前があることは同じ日本人として大変誇りに思う。今でさえ日本は世界の中で経済大国としてトップクラスに位置づけられてはいるが、個々の分野で見た場合、世界的な名声と実力のある人はそれほど多くはないと思う。音楽家に限っても以前に比べ日本人音楽家はかなり増えたが、世界に誇れる人となるとごく少数であるように思う。朝比奈氏は2001年に亡くなられたが、日本が世界に誇る大音楽家であることはこれからも変わらないだろう。氏が最も得意としていたのがブルックナーである。
 私は氏のブルックナーとしては「聖フローリアンライブ」の聖演だけしかこれまで聴いた事はなく、今回晩年のこの第4番を初めて聴いた。2000,2001年と一連のラストレコーディングの冒頭を飾るこの演奏は歴史に残る名演となった。まず管弦楽の大阪フィルハーモニーのうまいこと。楽想が淀みなく、滑らかに流れていく様は清流を思わせる。全体のテンポは通常の演奏よりも幾分速いのだが、全く雑な部分がなく、それよりかすべてが深い意味を含蓄している。この時の朝比奈氏は御歳92歳であるが、このような骨太で生命感溢れる演奏を繰り広げるとはただただ脱帽である。朝比奈氏の演奏の特徴として、低音が堅固なベースを形作っていることが挙げられる。特にヴィオラが旋律線の対位声部を奏でる場合、決して音量を落とすことなく旋律に立体感を与えている。この演奏でもその特徴がはっきりと出ている。また、極めて自然な流れで音楽が進行し、作為が全く感じられない。この時には、氏はもはや完熟の域に達していたのだろう。
 これまで私はべームの演奏をこの曲の最高の演奏と思っていたが、朝比奈氏のこの演奏はそれと比肩するか、人によってはそれを超えるものだと言う人もいるだろう。ライブにも関わらず、録音も極めて優秀であることはこの演奏をいっそう際立たせている。私は氏の演奏を生で聴いた事は一度もないが、ぜひ聴いてみたかった。けれども、このように録音として残された事は私たちにとって大変な遺産である。