談志の談志による談志ファンのための談志落語ガイドブックである
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この本は、談志の談志による談志ファンのための談志落語ガイドブックである。
立川流のこともよくわかる。
現代落語論、談志最後の落語論、そして、実演と,40年くらい断続的に見てきて
ようやくというか初めてと言うか,談志師のやりたいことがわかった。
談志師は江戸っ子をやりたかったんだ。
江戸っ子であることが,何をやるにも判断基準の一番上だったんだ。
もちろん落語をやる上でも。
江戸っ子だから,粋じゃなきゃいけないし,江戸弁がしゃべれなきゃいけないし、
もっちゃリした話は,田舎もんの話だし,下げは,クスっとさせなきゃ許せない。
と言うことだったのだ。人情話なんかやるもんか。お題目で助かったって面白くない。
しきたりってのはそういうことだい。
しかしひとつだけ感想。下げなんてどうでもいい。落語は下げをきかせるもんじゃない。
下げがあって、終われればいいだけだ。だから中身に力をかけるべきだ。
圓生師は上手だったが、ぼくは「上手いだろ私は」と言う態度が透けて見えて嫌だった。
特に,途中で茶をすするところ。
談志師の『ん回し』まだ聞いたことがない。観たい。
ひとり会には初期の頃10回くらい行ったと思う。
談志師がもちろんお目当てだが,一番前に,色川武大さんが座っていたのを見たときは、
こりゃ,得したと思ったもんだ。なんたって,あこがれの阿佐田哲也さんだ。