ある時代のはかない一面か?それとも
★★★☆☆
東京、パリ並びにニューヨークのファッションと都市の性格をブランドの受け止め方という観点から分析したユニークな作品です。伝統並びに世俗的な成功という拘束と文脈から脱却することのないパリ、ニューヨークと比べて、意味の呪縛からの解放を無意識のうちに達成した東京の文明論的な先進性がそこでは肯定的に描かれています。東京のキーワードはkawaiiです。このつかみ所のない中性的なキーワードが持つ超先進性こそがすべての文脈を離れて潔癖性を自己目的として求めることにより、ファッションとしての先進性を持つというわけです。ただこの担い手であるパラサイトシングル族のよって立つ経済的な地盤の脆弱さに目を向けた場合、これがいつまで脱文脈化したままでの先進性を持ち続けるかについてまでは、著者の職業柄、無意識のままのようです。”地価最終暴落”と同時に読むことをお勧めします。