男声合唱の愛唱歌集の定番
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大学の男声合唱、いわゆるグリークラブの活動が年々低下しています。男ばっかりですし、名門グリークラブのような過去の名演奏の質を保証するには体育会系なみの過酷な練習量を必要とするので若い方には敬遠されているのでしょう。往年の素晴らしい演奏の数々を聴いてきた者としては、時代の流れとはいえ残念な思いがします。
このグリークラブアルバムは、そんなグリーメンにずっと歌い継がれてきた曲を集めた愛唱歌集です。この第1集は赤本と呼ばれ多くの男声合唱人の手に渡りました。
日本を代表する合唱指揮者でした福永陽一郎、北村協一の両氏による編纂です。「シュテンチェン」「フライエ・クンスト」「いざ起て戦人よ」「スティール・アウェイ」「シェナンドア」「砂山」「中国地方の子守歌」「あわて床屋」「詩篇98」「ウ・ボイ」など、男声合唱を歌った者や聴いた者にとって懐かしい曲が目白押しで収録されています。かなりの楽譜は福永陽一郎、北村協一氏の編曲によるもので、古今東西の全46曲の男声合唱の定番とも言える名曲が収録されています。
それ以外に多田武彦氏最初の作品「柳河」、磯部淑氏作曲「遥かな友に」など多くの合唱人に歌い継がれ愛唱されてきた曲が収められています。黒人霊歌のジャンルからも5曲が収録されており、いずれも演奏会やアンコール、ロビーコール、そしてコンパで歌われ愛されてきた楽曲ばかりです。
福永陽一郎氏と北村協一氏の在りし日の指揮姿を偲びながら、過去の名演奏に思いを馳せています。