ニコル氏のネイチャー系ケルティックファンタジー
★★★★☆
ニコルさんはウェールズの方なので、ウェールズの伝承の再話かと思いましたが、オリジナルのファンタジー、しかも舞台はアイルランドのようです。
ドルイド(ドゥルソイ)に関する記述が今までの創作物語になかった詳しさだったのが非常に面白く読めました。また、裸で追放の身になった王子が独力でサバイバルする部分も、氏の手によるイラストなどとともに技術的側面がかなり詳しく書かれており、その点では異色のファンタジーと言えるでしょう。そのために弱冠ストーリーの流れが滞っているようにも感じられましたが、これはこの著者にしか書けないと思う部分でもありました。
ストーリーも歴史に沿った展開で素直に読めますし文章も読みやすいのですが、物語のテーマを語る文章部分を、太字のゴシック体に字体を変えるという形で強調するのはどうもいただけません。ストーリーを読むだけで充分伝わっているのにと、そこが残念でした。文章は平易で小学校低学年の子供でも読み聞かせなどで楽しめます。ダルシンの作った武器や道具を親子で作って遊んでみるのも楽しそうです!