「萌え」の元に集められた名作たち。面白そうだと思って読んでみたのですが、「萌え」という言葉をむやみに使っているようにしか取れませんでした。こういう見方もあるのかという参考にはなりましたが… 新しい小説との出会いにはなると思います。

これは名作と呼ばれている文学作品を紹介しているものです。
有名作家が描いた有名作品の『萌え』を著者は書き記しています。
作中から抜き出した部分に、著者の考察を挟み、作品の良さを伝えています。

個人的に気に入ったのが

「谷崎大先生、育てゲー大失敗の巻『痴人の愛』(谷崎潤一郎)」
この作品を育てゲーに見立てて内容を紹介しています。

「文学的なあまりに文学的なポルノグラフィー『眼球譚』(ジョルジュ・バタイユ)」
少年と少女の少し歪んだ青春を描いた作品を解りやすく紹介。

川端康成などの作品もあります。


作品の中には恋愛というよりも官能に近いものがあるという事や
作者の狂気的な部分も見られたりしますが
そういった部分を知る事で興味を抱かせてくれます。

様々な『萌え』要素が名作と呼ばれているものに入っているとは著者の言葉。
作品ごとにどういった『萌え』要素が含まれているかが描かれている点も良いです。
実際にこの本を見た私としては納得、感嘆と言うべきでしょうか。
きっと読んでみたくなる作品もあるかと思います。

私は読みたくなったものが増えました(笑)。

斬新な切り口で文学作品を紹介しています。
日本文学のみでなく外国作品も紹介しているところが魅力的。
しかも、今まで多くの人が思っていても言葉にすることができなかったであろう文章の切り口が気に入り、一気に読めてしまいました。
お勧めです。