カラー資料、地図も多い優良本
★★★★☆
世界史を網羅した「世界の歴史」の17番目にあたるこの書。
キリスト教の宗教改革、植民地貿易などを主体に、西はスペインから東はロシアまで、それぞれのできごとがつづられています。
時折、著者の主観が入ったり、想像が入ったり、話がそれたりするのが、理解を阻む要因になりますが、内容としてはよくまとまっている方。
全地域をまんべんなくというよりは、フランス、ロシア、ネーデルランド、イギリスに偏った傾向が見られます。
1800年ごろまでをまとめているのに対し、神聖ローマ帝国が消滅したことについては、一切触れていません。
イタリアにしても皆無です。
文化・生活については、事実の記述であるべきところで、男性目線の記述が多く目につきました。
特に望まぬ出産に関する項目では、おそらく強要された関係を、「男性の誘惑に乗った」とし、女性側の非ととれる表現になっています。
また、堕胎が発達し始めただろうことを、避妊が一般的になったとし、実際は大きな犠牲を払った女性が多くいたことを、美化して書かれている印象もあります。
本そのものとしては、地図や具体的な数値による補足も親切で、広く浅く知るには、手ごろな歴史書といえるでしょう。