最も瑞々しい大地の歌
★★★★★
この曲の初演はマーラーにしては珍しく自作初演でなく、ブルーノ・ワルターの1911年11月20日、ミュンヘン。本作は1999年10月ウィーンにて録音。この曲にウィーン・フィルを持ってくるところがまず素晴らしい。ブーレーズは同じマーラーで『さすらう若人の歌 』・2番・3番もウィーン・フィルとやっていて、4番がクリーブランド、9番をシカゴ響とやっている。曲とオーケストラの特徴を知るものには実に適正な選択をしているな、と感じるだろう。
李白らによる唐詩に基づいて、ハンス・ベートゲが翻訳・編集した詩集『中国の笛』から7編の詩からなるこの作品は、はっきり言って歌が命だ。本作品のテノールのミヒャエル・シャーデもメゾ・ソプラノのヴィオレッタ・ウルマーナも素晴らしい声を聴かせてくれる。
悲來乎
悲來乎
主人有酒且莫斟
聽我一曲悲來吟
悲來不吟還不笑
天下無人知我心
李白の詩が響き渡る。
それ以上に素晴らしいのがウィーン・フィルだ。これと並ぶ演奏は同じウィーン・フィルのバーンスタインがバリトンにフィッシャー=ディースカウを持ってきた録音くらいしか思い浮かびません。