吉松隆の世界の魅力が味わえる
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吉松隆は、現在の日本人作曲家の中でも、「聞きやすい」路線の代表格のような人である。「聞きやすい」ものは、えてして「安っぽく」「飽きやすい」ものにもなりがちなのだが、吉松の曲は、そのスレスレの線を行き来しているように思われる。そこは評価が分かれるところでもあろうが、その評価は演奏にも大きく依存してくるだろう。このCD(イギリスのChandosレーベルは、吉松の作品集を出し続けている)は、吉松隆の傑作がそろえられており、彼の世界を味わうには最良のカップリングである。演奏も、作曲家への共感と柔軟な感性に支えられていてすばらしい。日本人作曲家の曲をふだん聴かない人にも、ぜひ一度聞くことをおすすめしたい。