イスラームの課題 世界の課題 我々の課題
★★★★★
世界史上輝かしい文明を誇ったイスラームであったが、物理的に強力になった西欧のインパクトを受け、危機に立たされた。その経済システムに組み込まれ、植民地化、半植民地化を余儀なくされたのだ。
本書は、この危機に彼らがいかに立ち向かったかを論じる。なかなか日本人にはなじみがない地域であるが、山内先生の筆は啓蒙的でわかりやすく、目からうろこが落ちることが多い。彼らは近代的ナショナリズム形成を試みたり、政教分離をはかったり、あるいはイスラームの原理に復帰したり、対応は様々である。
ある程度成功したものもあれば、苦難の道をたどったものもある。そして今日の紛争やテロなど問題の多くは今も続いている。それはどこか遠くの世界の話ではない。本書はイスラームと西欧、日本のいわば三角の視点から描き出し、問題を問いかける。