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聖の青春 (講談社文庫)

価格: ¥730
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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結果だけを追い求め、結果そのものよりも多くを残して行った男の物語 ★★★★★
「お金も名誉もいらない。頂点に立つ事、それだけだ。勝負の世界には後悔も情けも同情もない。あるのは結果、それしかない。」

まるでNIKEのコマーシャルのコピーみたいなこの一文を書いたのは、プロ棋士の村山聖(さとし)。本書は、彼と親交を結んだ将棋雑誌の編集者による素晴らしい評伝だ。

5歳で腎ネフローゼという難病を患って以来、わずか29年の生涯を通じた闘病を続けながら「名人」を目指し続けた男。自分に残された時間をいやというほど意識しながら、せきたてられるように、ただただ頂点に向かって歩み続けた彼の人生を知ると、冒頭の言葉の奥にある覚悟の深さに眩暈がする。

凡人にしてみれば、常に心身を削り、駆け引きもなく、闘争心も嫉妬も純朴さも全てさらけ出すその生き方はあまりに厳しく、あまりに眩しすぎる。それでも、村山聖という人物が(わずか10数年ほど前まで)生きていたということを他の誰かにも知ってもらいたいとだけ願う。

もし、彼の名を初めて聞いた、という方は是非読んでみてください。
是非読んで欲しい ★★★★★
かつて、村山聖という凄い棋士がいた。しかし、夢半ばで死んだ。
私は、いつのまにか、彼の死んだ年齢より上になっていた。彼を忘れてはならない。終盤は村山に聞けのフレーズが懐かしい。
余す所無く伝えた将棋棋士の生涯 ★★★★★
 かつて、羽生善治さんや、佐藤康光さんや、森内俊之さんらと共に、「羽生世代」の一角を担っていた村山聖(さとし)さん。この本は、将棋棋士の村山聖さんの生涯を、師匠である森信雄さんや、「羽生世代」のライバル達や、家族との関係などを交えながら、かなり詳しく描いていると言える。
 だが、私がそれ以上に凄いと思ったのは、村山さんの生き様である。実際に村山さんは、重いネフローゼ症候群(腎臓病の一種)と闘いながら、順位戦A級や竜王戦1組まで登り詰めた訳であるが、そもそも順位戦A級や、竜王戦1組には、そう簡単に上がれるものではない。いや、勝負の世界では、重い病気を抱えていると非常に大きなハンデを背負うため、余計に大成するのが難しくなる。だが、それを村山さんは、実際にやってのけたのである。
 また、村山さんは「打倒・谷川(浩司17世名人)」を掲げていたと書かれているが、恐らく上記の活躍は、強いモチベーションを長期間に渡って維持し続けない限り、絶対に出来ないと言える。これらを考えると、村山さんの将棋に対する情熱は恐るべきものだったと思う。

 ただ残念ながら、村山さんは1998年に29歳の若さで亡くなってしまったが、わずか29年の生涯であっても、村山さんの生き様は将棋ファンのみならず、多くの人を確実に惹き付けると言える。
 だから私は、この本が末永く読み継がれることを切に願いたいと思う。
ストイックでなにか悲しさがある青春の姿 ★★★★★
最近将棋に興味を持ち、棋士の本などを読むようになった。

病気に冒されながら、将棋のプロになり、短い人生を終えた村山聖棋士。
学校に通えない、病気というハンディキャップが将棋に情熱をささげることで命を燃焼させる姿は感動もの。
私は成功の影には必ずモチベーションとなるコンプレックスがあるものだと持っているのだが、やはり棋士として成功したい、名人になりたいという願望もそういった病魔があってこそだったと思う。

私が一番共感できて、泣きそうになったのは少女漫画を愛読していたという点でした。
普通の人なら余りフックにかからない部分だと思うのですが、私も惨めな青春を送ったので非常に理解できる。
彼は病院、将棋といわゆる普通の青春を送ることができなかった。
健康な体で、学校に通っていたら送っていたかもしれない眩しすぎる青春を少女漫画を通じて体験していたのだろう。
十代の少年なら当然、そういう時間をすごしたくてしょうがなかったはず。

ただ健康な体だったら将棋に情熱をささげることもなく、普通の人生を送っていたはずで、これは難しいですね。

あまりにも眩しい生き方 ★★★★★
いつ死ぬとも知れない体で、這いずってでも対局に向かう。
そんな中でも己の体を呪わずに、一瞬一瞬を強く生きる。
そんな生き方や考え方が、一体どれだけの人間に出来るだろうか。
何か一つのものに対し、己の命の全てを燃やす生き方はあしたのジョーの矢吹丈に通じるものがあるように感じる。

その僅か29年の人生は、どれ程密度の濃い人生だっただろう。
私のように漫然と人生を送ってきた人間にその生き方はあまりにも眩しい。

この作品はむしろ中高生などの若い人に読んでほしい。
漠然とした目標しか持てない人生への、良いカンフル剤になるだろう。