同じ広島出身の矢沢永吉が、スターになることをめざし、夜汽車にのって東京めざしたのととてもよく似ている。この二人は、ともに一文なしから、実社会に飛び込んで、商店の下働きから人生の第一歩を踏み出している。
それにしても、どんな勤め先であっても、自分の知恵と勇気をたよりに一生懸命働きながら、自分の夢の実現に近づくための努力を怠らない。そしてチャンスがあれば果敢に次のステージへの飛躍を挑戦する。二人のこうした姿勢はすごいと思うし、それこそが夢を実現させる力だったのだと知らされます。
本書は、将棋の世界の人間模様も生々しくかかれていて、興味は尽きません。自伝とありますが、記者による聞き書きであり、それがゆえに語り口が生きているし、変化に富んだライフストーリーがうまくまとめられています。