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名人に香車を引いた男―升田幸三自伝 (中公文庫)

価格: ¥900
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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名人に香車を引いて勝った男の自伝 ★★★★★
タイトルにあるとおり、名人(木村義雄名人、大山康晴名人)に
香車を引いて指し、大山名人には勝ってしまった、升田幸三の自伝です。

彼は大正七年に広島県の田舎で生まれ
ひょんなことから将棋指しになりますが、その生涯は波乱の連続です。
家出して大阪の棋士の弟子になり、集中することに目覚めて強くなる。
仇敵木村名人との初対決に敗れ、徴兵されて九死に一生を得る。
生還後、木村名人に雪辱を果たすも、大山名人に一敗地にまみれる。
そしてクライマックス。名人に香車を引いて勝ち、自身も名人になる。

それぞれの模様が、筆者独特の軽妙な語り口でつづられています。
「ほら吹き升田」の異名があったそうで、どこまでが本当か分かりませんが
升田さんが名人に香車を引いたこと、名人になったことは事実です。
いずれにせよ、物語としてとても面白く、どんどん読み進められました。

将棋を指す方には、特におすすめの本です。
GHQに香車を引いた男 ★★★★★
羽生さんが名人位を防衛しました。おめでとうございます。郷田九段も好きなのですがやはり
羽生さんの壁は厚かったようです。
ところで郷田九段というと若かりし時はハンサム棋士で名を知られ、あまりにもハンサムと
みんなに言われつづけ「将棋と顔は関係ない!」と怒ったという伝説があります。今ではハン
サム度もだいぶ落ちてきました。やはり年をとると・・・仕方がないですね。
ところで何の話でしたっけ?あっレビューです。

全編、升田先生のヘン人ぶりが爆発していますが、中でもGHQに呼ばれる部分が圧巻です。
GHQ「われわれのたしなむチェスと違って、日本の将棋は、取った相手の駒を自分の兵隊と
して使用する。これは捕リョのギャク待であり、人道に反するものではないか?」
升田先生「ジョー談を言われては困る。チェスで取った駒をつかわんのこそ、捕リョのギャク
殺である。そこへ行くと日本の将棋は捕リョをギャク待もギャク殺もしない。常に全部の駒が
生きている。これは能力を尊重し、それぞれに働き場所をを与えようとという思想である。
しかも、敵からミ方に移ってきても、金は金、飛車なら飛車と、元の官位のままで仕事をさせ
る。これこそ本当の民主主義ではないか。・・・・あなた方はしきりに民主主義を振りまわす
が、チェスなんてナんだ。王様があぶなくナると女王を盾にしてモ逃げようとするじゃない
か。・・・日本を生かすのなら日本将棋にならって人材を登用するがよい。・・・・・」
実に痛快です。

チェスも将棋もインドのチャンシー(でしたっけ)がルーツですが、駒が武器ではなく金、銀
桂(シナモン)香(お香)というふうに宝物になっているのは日本将棋だけだと井沢元彦が
何かに書いていました。

どこまでが本当なのかわからんが、とにかく無類のおもしろさを持つ一冊。 ★★★★★
本人もあとがきで書いて(言って?)いるが、升田幸三の「おしゃべり」をまとめた自伝。

風貌と見事なまでにマッチした語り口。強烈な自尊心、嫉妬、子供のような無邪気な喜び方、著者の現役時代を知らないわたしでも、当時棋界随一の人気を持つ棋士だったということが理解できるほど強烈で魅力溢れるキャラクターだ。

わたしは、素人以下のヘボ将棋なので、掲載されている棋譜の凄さがまったく理解できないのだが、そんなことはまったく関係なく、一人の男の自伝として無類のおもしろさを持つ一冊だった。

一つ一つのエピソードが印象に残ったのだが、もっとも驚いたのは223p〜229pに書かれている「GHQ高官の度肝を抜く」だった。このエピソード自体は、「月下の棋士」というマンガで知っていたのだが、あまりにも出来すぎな話だったので原作者の想像の産物だと思い込んでいた。だが、実際にあった出来事だったと知って本当に驚いた。

GHQから「日本の将棋は取った相手の駒を自分の兵隊として使用するので、これは捕虜の虐待ではないか」と問われた升田は次のように反論する。

「冗談をいわれては困る。チェスで取った駒をつかわんのこそ、捕虜の虐殺である。そこへ行くと日本の将棋は、捕虜を虐待も虐殺もしない。常に全部の駒が生きておる。これは能力を尊重し、それぞれに仕事場を与えようという思想である。しかも敵から見方に移ってきても、金は金、飛車は飛車と元の官位のままで仕事をさせる。これこそ本当の民主主義ではないか」

格好良すぎるぞ。升田幸三!
とても楽しく心に残る自伝 ★★★★★
本書で特に印象に残った箇所が2つあります。
一つ目は「集中心を持て。何事にも当面の仕事に全力を集中せよ」ということを悟ってから急激に将棋の腕が上がっていった、ということ。
何気なく書かれていますが、私はこのくだりを読んで「集中する」ということの大切さにハッと気づかされました。
二つ目は有名なGHQ高官とのやり取りです。言ってることが滅茶苦茶なんですね(笑)でもその正直さと、揺るぎない哲学を持っていることがアメリカ人にも伝わって、尊敬されたのでしょう。若い私には敗戦当時の状況というのは想像も出来ませんが、負けた相手国の高官にこれだけの大言を吐ける度胸がある人物はなかなかいないのではないでしょうか。

破天荒で正直で、読んでてとても面白い自伝でした。子供のころに描いた「名人に香車を引いて勝つ」というとてつもない夢を叶えた著者の強さは、その正直さにあったように思われます。実は私、升田幸三という人をよく知らずに買ったのですが、一気にファンになりました。

将棋のことがまったくわからない人にはちょっとつまらないかもしれませんが、逆に少しでも将棋、将棋界についてを知識があれば楽しく読めると思います。
面白すぎる自伝 巧みな語り口がぐぐーーっと読み手を引き込む ★★★★★
無学であっても、高い志があり、目の前の現実と闘って知恵を獲得しながら努力を積み重ねていくと、この社会では上へ上へとのぼっていくことができるのだ。そんなふうに夢を与えてくれる。波乱万丈の自伝。

同じ広島出身の矢沢永吉が、スターになることをめざし、夜汽車にのって東京めざしたのととてもよく似ている。この二人は、ともに一文なしから、実社会に飛び込んで、商店の下働きから人生の第一歩を踏み出している。

それにしても、どんな勤め先であっても、自分の知恵と勇気をたよりに一生懸命働きながら、自分の夢の実現に近づくための努力を怠らない。そしてチャンスがあれば果敢に次のステージへの飛躍を挑戦する。二人のこうした姿勢はすごいと思うし、それこそが夢を実現させる力だったのだと知らされます。

本書は、将棋の世界の人間模様も生々しくかかれていて、興味は尽きません。自伝とありますが、記者による聞き書きであり、それがゆえに語り口が生きているし、変化に富んだライフストーリーがうまくまとめられています。