LDAPサーバはメール、Web、ファイルサーバといった各種システムと
連携して初めて意味があるもの。
それぞれのオープンソース・ソフトウェアの付属ドキュメントを
読んだり、インターネットで調べればわかるという内容も多いだろうが、
それをするには時間と労力を要するので、1冊の書籍にまとめられて
いることの意義は大いにある。
LDAPとは何かを知りたい、LDAPのしくみなどについて勉強したい、
といった向きの本ではない。システム管理者向け。
私は現在会社のシステムでLDAPの導入を検討しているところだが、
商用のディレクトリ・サービスは大変高価でシステムを構築するにも
結構なSE費用がかかるから、ちょっと試験的に導入するというわけ
にもいかない。
評価用として OpenLDAP を使ってみようかと考えていたところなので、
ちょうど良い本が出たと喜んでいる。
OpenLDAPのインストール・設定の項では、SSL,DBM,SASLといった必須ライブラリが説明されています。コンパクトな説明ながら、ライブラリの依存関係はシステム管理上欠かせない知識なので、有用な記述だと思います。
その後、各種のコマンドを使ってエントリーを追加・変更・削除する方法を説明しています。GUIツールも紹介されていますが、こちらの具体的な操作方法には立ち入っていません。
LDAPサーバーの具体的な利用例として、NISの置き換え、メールアドレスディレクトリとしての利用、FTP/HTTPとの連携、Sambaとの連携等㡊??取り上げており、設定方法が説明されています。それらの内容は参考にはなるのですが、もう少し生々しい説明が加えられていれば、読者にとってより楽しめるものになっただろうと感じました。
LDAPサーバーを分散して親子関係を作成する方法については簡単に触れられています。併せてOpenLDAPとActive Directoryの連携も取り上げています。
最後に、LDAP関係のCPANライブラリを利用したPerlプログラミングが説明されています。記述は基本的な説明に留まっています。
規模が拡大しつつあるシステム管理作業を効率化したいと感じている方で、UNIX/Linuxシステム管理には通じているがLDAPサーバーは初めて、といった人に適した本であると思います。機能や性能を検証したり、プロトタイプ的に導入する際に参考になる一冊です。しかし、大規模で熟慮された管理を行うためのガイドは、本書では示されていないと思います。