17歳のダニー(リヴァー・フェニックス)はピアニストを志望し、ピアノの先生の娘ローナ(マーサ・プリンプトン)を恋するようになるが、一線を越えることができない。なぜなら彼の両親(ジャド・ハーシュ&クリスティン・ラーティ)は、ベトナム戦争当時に反戦活動家としてナパーム工場を爆破した罪で今なお国警察に追われる身だったのだ…。
今は亡き青春スター、R・フェニックスの個性と、『狼たちの午後』『セルピコ』など社会派名匠として知られるシドニー・ルメット監督の個性が巧みに融合された作品。政治思想的なものを背景に、青春の柔らかく初々しい輝きが切なく奏でられて行く佳作。R・フェニックスは本作でアカデミー賞助演男優賞にノミネート。その後の活躍がもっとも期待される若手実力派スターでもあった。(的田也寸志)
邦題が理解の妨げ。これはそんな「おセンチ」な作品ではなく…
★★★☆☆
老ボルシェビキの両親に育てられた、というのだから父親の革命家志向はDNAのなせる業。それなりの確信犯だった筈。母親がいくら正義のための行動だったと強弁してもそれはちと嘘くさい。ピアニストとして有望であった金満家の娘に正義と愛を騙って仲間として釣りあげる、などというのは活動家がよく使う方法。一方、自分たちが指名手配されることが判っていながら何故子どもをもうけたのかは謎だ。しかも長男がこの年17歳、ということは、爆破行動の前に懐妊していた勘定だ。子どもと共に逃亡生活を続ける方がより危険な筈。そう考えると、むしろ父親には市民生活に溶け込む手段として子どもを使う心算があったのではないか?一貫した父親の冷徹な判断、反体制振りは尋常ではない。一家の生活のかなりの部分を革命支援組織が支えているようだが、それも現実の米国社会では考えにくい。むろん映画は虚構であるとしてもこの作品の「挙動不審さ」は実はかなりなものなのだ。
この話は現在進行形であり、両親がナパーム弾の開発拠点を爆破したのが1971年。そして長男17歳、1988年の内容現在でこの映画が公開されている。「いちご白書」のもとになったコロンビア大学での州兵を巻き込んだ学内闘争が68年、ヴェトナム戦争への米軍の介入が本格化する最中(さなか)のこと。以降焼夷弾を改良したナパーム弾が雨霰のごとくヴェトナム・ラオス・カンボジア一帯に降り注ぎ、一帯は焦土化した。そして戦争の終結は1975年。その後さらに13年もの間4人に増えた家族は逃亡を継続していることになる。
長男が本当にピアノの才能を磨きにジュリアードに進学したかどうかは依然不明、というのが正しい見方ではないだろうか。子どもが一人前になったら自首する、という両親の言葉も疑わしい。その前に捕えられて収監される可能性の方が依然高いのだ。
「旅立ちの時」は迎えたが、うまく旅立てるかどうかは実は映画公開時点では誰にも判らない。ただ、連邦警察の追跡を受け続ける限り、一家のもがきと苦しみはどこまでも続く。一歩間違えばかつての「同志」ガスと同じ悲惨な最期も考えられる。大学受験年齢の長男を連れた逃亡生活は最早困難だ。一家にとって長男を切り離した身の処し方が必要だった、というのがニュージャージーでの別れの真相ではなかったろうか。
日本の映画観賞者たちの政治音痴ぶりは相当なものと言えよう。
良い!
★★★★★
今は亡きリヴァーフェニックス。
この映画のリヴァーがまた良い。
彼の陰がある人柄がマッチしてる
マーサもやはり良い演技してる。
周りを囲む俳優人も納得な演技
旅立ちの時…という題名に、なるほど、と思った。
家族の結束は離れても、彼に、家族達にあるんだろうな…
繰り返し見たい映画です。
素晴らしいです。
何回みても涙が出ます。
running on empty
★★★★★
これまで映画のレビューは書かなかったのですが、心に残る作品だったので残しておきたいと思った。
悩みながら、そして力強く生きる若者へのメッセージとして
そして、遠い過去に大切なものを置き忘れてき大人たちへ...
主人公が家族と別れる最後のシーンで父親が残した言葉
"Now,go out there and make a difference."
"Don't let anyone tell you any different."
一歩前に進む勇気
★★★★★
過去に両親が行った反戦活動の為にFBIに追われ
一つの場所に留まれず、逃げながら生活する一家。
子供を愛しているから、辛い選択をせまられる母親、
家族を愛しているから、辛い選択を選べない父親、
両親を愛しているから、自分の将来を諦めようとする
長男のダニー。
子供を愛していたのに、離ればなれの生活を強いられる
母親の両親。
長男のダニーが旅立つ時を迎えて、家族の愛を感じながら
一歩前に踏み出す。
この映画はしっとりと心に響きます。
リバーとマーサが美しい!
★★★☆☆
リバー・フェニックスの繊細な演技が随所に観られる秀作です。
彼は本作品でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされました。
崩せない家族の絆、大切な恋人、ピアノ演奏家になる夢。十代の多感な、それでいて親の運命に生まれながらにして引きずられている複雑な家庭環境を背景にした役柄を彼はとても自然に演じています。彼が劇中で演奏するベートーベンもとても素敵です。
13年前に亡くなってしまった俳優リバー・フェニックスですが、彼を知らないという方に是非この作品を観て頂きたいです。
欲を言えば、特典映像として本作品の予告編が観たかったです。