立体的な世界観と眼鏡っ娘
★★★★★
作者独自の哲学が物語の根底に流れていて、きちんと完成されているところが凄いですね。絵柄がとても「いやらしい」のも凄い。Hな構図をきちんと計算して描かれてると思います。物語は成人小説にありがちなドロドロな内容なのですが、絵柄が上品かつライトな感じなので、読み進むのが苦になりません。むしろ感情移入すらしてしまいます(鬼畜の親玉はもはやロボットアニメのボスキャラ!)。登場人物の心情表現が巧みだからでしょう。
この作品では主人公の家族のほかにヒロインの家族(姉・弟)の物語も展開します。こちらは等身大の物語で、同級生の恋、姉への淡い想い、といったものを作者の哲学を交えながら進んでいきます。個人的にはこの姉弟の物語をスピンオフしても良いのではないかと思いました。
先の方のレビューでは一冊にまとまってない、とのことですが、きちんと独立したコミックとして楽しめますよ。ただ、前作、前々作を読んだ後に読むと、より一層楽しめるのは間違いないですね(もちろんこちらを先に読んで、前作、前々作と遡っていく楽しみ方もあると思います)。立体的に世界観を構築できる作家さんと言えるでしょう。
最新刊のレビューでも指摘したように、やはり眼鏡っ娘濃度が高いですね。本作のメインヒロインもやっぱり眼鏡っ娘(ただし前半のみ)。作家さんは否定するかも知れませんが(笑)。
個人的には、前作「愛・家族」の柊つぐみさんと並ぶ、最高に「いやらしい」眼鏡っ娘だと思います。デッサンの整ったリアリティのある2次元眼鏡っ娘を、ここまで淫猥に描ける作家さんはそういないのではないでしょうか。
こちらのジャンルでの新作を期待しています。