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文化を交叉させる 人類学者の眼

価格: ¥2,310
カテゴリ: 単行本
ブランド: 青土社
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巻末のレヴィ=ストロースの最後の日々の描写が何とも心に残ります ★★★★★
コメントできるような立場でも著書の内容でも全くありませんが、あくまで一般人の読書感想文ということでお許しいただきたい。「現代の人類学の中で、格別な位置を占めている」(レヴィ=ストロースの巻頭の賛辞)著者の(日本では)未発表また既論文に加筆したもの5つ。極端に簡略化すると、1)はグローバル化における技術文化をフランス原型、日本型、アフリカ・モシ王国型に分類し各々の特性、共通性を論じています。2000年(仏)発表の論文がもとのようですが、当時既に現在の世界・日本の状況加速化を予見しています。レヴィ=ストロース同様、文化的優劣論から一線を画しています。世界的に方向性が増々混沌としてきている現在、この章だけでも読む価値があります。2)は「うたう」ということの文化的意味、位置づけ。3)は動物(野兎、狐など)寓話とトリックスターについて文化比較。4)は図形象徴性、5)は歴史的図像と言語における機能ですが、一般人からみると各章の連続性、展開はありません。また、素人としては心地良くついて行けるのは1)から3)位まで、4)、5)は少し専門的で難解でした。

何よりも印象的だったのは著者の「あとがき」でした(論文の価値とは全く別な話です)。知の巨人レヴィ=ストロースの最晩年の様子について抑制の効いた著者の話があります。いつかは訪れるわけですが、何とも惜しむべき人がまた一人世を去りました。寂しく、残念でなりません。