一人一人のキャラが立っている!
★★★★☆
花音コミックスの「美しき男たち」シリーズ以外で初めて購入した藤崎作品。
キャラクターの描き分けが分かりにくい難点が多少有るも、「お決まり」の
ボーイズラブ恋愛ドラマに、何故か引きつけられてしまう一冊。
最初のカップル、エリートビジネスマン隆将×大学生遥太。
隆将の親友である怜一が遥太の兄である縁から、二人は年の離れた幼馴染み
同然の関係で育つが、男同士ならではの、兄貴分と弟分のような二人の関係が
どこか暖かくて魅力が感じられる。
また、一方遥太の兄で超エリートビジネスマンの怜一。
彼が実は弟の知らない絶倫男で、体だけの関係を持つ人間は男女を問わず
星の数程。
一体この男のお陰で、この漫画に何度「セフレ」という単語が乱発されたであろうか。笑
一見冷徹に思える怜一が、唯一人、大学時代からの後輩である稔里にだけは心を許し、
特別扱いする姿が微笑ましい。
また怜一の弟遥太に対するブラコンっぷりも、彼を人間臭くしていてナイス効果!
稔里の怜一を一途に思う姿もけしてしつこくない。彼が表と裏の顔をきっちり
使い分けているのが逆に切ない。
藤崎作品の一番の魅力は、私にとってワンパターンながらもキャラクターが
生き生きとして自己主張しているところと、絵柄がスッキリとしていて
全体的に分かりやすい構図になっていること。
漫画という表現が、基本的に何を大切に描かれるべきか、よく理解している作家の一人だと思う。