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完本 小津安二郎の芸術 (朝日文庫)

価格: ¥1,260
カテゴリ: 文庫
ブランド: 朝日新聞社
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やはりはずせないオーソドックスで著者らしい小津論 ★★★★★
文芸評論で作品の解釈やその固有の文体について論じる際に
作者の生立ちや社会的・時代的背景などから作者の意図や問
題意識に迫っていき、再度そこから表現方法を論じていくス
タイルのものがある。
学校で国語の時間にやった「評論」と聞いた時に一般的に頭
に描くあのパターンだ。換言すれば、「王道」という事にな
る。本書は良くも悪くも著者らしさが炸裂したそういう「王
道」の映画論といえると思う。とりあえず、数ある小津に関
する著作の中で最初に手にとるに相応しい一冊だろう(最
も著作とその解説書みたいなもので、映画論読むなら1回で
も多く映画を見直した方がいいとおもうけど)。
蓮實氏のものを楽しむ上でも順序としてはそうした方がいい
でせう。内容的にはとにかくほぼ時代順に論じられていて
特にサイレント期の作品やスタイルについての部分は、作品
自体が失われており、残されたシナリオに基づき論じていて
貴重である。著者が円熟してからのものでもあり、若い頃の
小津物への「反発」などにもふれられていて、小津映画と長く
付き合ってきた著者の鑑賞者としての歴史も垣間見えて面白い。
まずは佐藤忠男から ★★★☆☆
蓮實重彦の『監督小津安二郎』はたしかに優れた著作である。がしかし、順序からいえば、まずは佐藤忠男氏のこの書物から読むべきである。でないと、蓮實の小津論の「Ⅰ 否定すること」のインパクトは半減してしまう。いやそもそも、そのどちらを読むかよりもまずは、ビデオでもDVDでもいいから見られる小津作品を片っ端から見て、それからこの本を読むべきだ。佐藤と蓮實、どちらが「偉い」かといった問題ではない。ホンネを言えば佐藤氏の小津論は、どう贔屓目にみても「努力賞」とでもいうべきものだ。彼の小津論は、映画批評が陥りがちな大きな「落とし穴」にはまっている。彼は知らずのうちに、映画以外の何かを語ろうとしてしまうのである。しかし、そうした「落とし穴」にはまってしまう必然性を十分に意識して映画批評をしている人がどれほどいるだろうか。一種の反面教師として十分に読む価値はある。小生の評価は、★3であるが、とにかくこれを読まねば始まらない。
なにがなんでも ★★★★☆
星が一つだったんで、気になって再読しました。
映画監督を語る流儀というのが、存在すると思
うので、蓮「實」センセも佐藤「忠男」センセ
も、読者的にはエンジョイできるものだと感想
を持ちました。
かつて蓮實センセはジョン・フォード論におい
て「投げること」を取り上げて、森卓也さんに
やんわりとトンデモな括りだと言及されていま
したが、批評の面白さは「個人のイレコミと視
点」にありなんじゃないのかなあ。その意味で
は、この本は歴史的著述と思うのですが。
百年の誤読 ★★★★★
かつて、この論が現れた時に「小津がいい」と胸を張って
いえた1930年代生まれがいただろうか。黒澤を正面切って
論題にあげていうのが「父権性」やいわゆる「エスタブリ
ッシュメント」された文脈から「けなし」こそあれ、正当
な評価を与えないないまま回避されてきた対象が小津であ
ったことは思い起こされてもいい。慎重に蓮實氏も佐藤氏
の労著を視座におきながら書き起こしている。これは日本
人が小津を扱う際に非常にセンシティブな問題を孕むから
だ。その歴史性の観点を提示する意味で、非常な名著であ
る。佐藤氏は「忠雄」ではなく「忠男」だ。論難するにも
マナーがあってしかるべきだろう、な?
蓮見の後では霞む ★☆☆☆☆
佐藤忠雄の評論の多くは、作品論の形態を保っていないように感じる。
彼の関心事は、世相、社会問題、それに付随する形での映画史なのだ。
確かに小津安二郎自身戦争の波にもまれ、作品にもそういった外部環境の影響は見られる。
が、しかしである。
一読すれば判然とするが、彼の論述はどれ一つとして、作品それ自身に立脚したものではなく、何かしら比較材料や、思想、社会、映画とは関係ない個人的関心事、と絡めて進められ、当たり前の作品解説で占められることも多い。
小津は純粋に作品のみに注視して鑑賞されるべき、である、という私の感覚からは全く納得がいかない、極めて浅い内容である。
ちなみに『晩春』の記述は4頁で終わっている。基本的に平和的な筋立ての作品への言及は極端に少ない。
後書きを参考にして慌てて書かれた中学生の読書感想文のようだ。