ただ、文章ばかりの本ですので、ちょっと実物が想像しがたい語句もあります。と言うと単に自分に想像力がないみたいに思われるかもしれないんですけど、例えば「草葺き屋根の芝棟」で屋根のてっぺんに草が植わってる、とか言われても、マンション住まいの都会人には想像し難いってもんです。いちいちインターネットで実物の写真を検索するのも面倒ですし、これで解り易い写真でも一緒に掲載されていれば良かったのに、と思います。
この本も、オビには「気鋭の建築学入門」とあり、何やら難しそうに感じますが、そういう心配は全くありません。「柱」や「屋根」「天井」といった建築に関するものをネタにした著者ならではのユニークな観点からのエッセイ集というべき内容になっており、建築素人の私のような者でも、楽しめる本になっています。建築ファンだけでなく、面白いエッセイ集を探している人にもお奨めできる1冊です。