京都好きを自認する私が数年前に出会ったのがこの本の著者麻生圭子さんの代表的デビュー作「東京育ちの京都案内」、その麻生さん、遂に今度の「小さな京都案内 食」で第二期京町家時代をブレイクされたようで、本当に胸の漉く思いが。
さてこの「小さな京都案内 食」ではタイトル通り有名料理屋さんを中心に、おばんざいやさん、喫茶店、和菓子屋さん、酒屋さんなどを実にバランスよく紹介。
これが縦糸とすれば、横糸には茶の湯文化を用いて京都暮らしををまるで西陣織のようにあでやかに織り成されておられます。
掲載のお店は京都ガイドブックでは一度は目にしたことのあるような有名店が中心ですが、その中にあって麻生さんならではのチョイスがまたこころにくく、京都の路地(ろうじ)をうろついて偶然見つけた店のように誰にも教えたくないようなそんなアングルもこの本の醍醐味でしょうか。
それから、春・夏・秋・冬四季折々の展開があたかも新古今和歌集をも彷彿とさせて、とても詩情あふれれているのも並みの京都本には真似の出来ない技でしょうね。更に随所にちりばめられた美しく情感あふれる映像も実にうれしい。麻生さんの着物姿も必見。
なんといってもこの本一冊で、京都観光10回分くらいのエッセンスが満載されていてご利益十分といったところ。